歯並び・噛み合わせと全身疾患、健康寿命の関係
2024年2月26日こんにちは。
墨田区鐘ヶ淵 鐘ヶ淵駅西口より徒歩3分の歯医者
「にしざわ歯科医院」 院長 西澤克哉です。
いつもブログを読んでいただきありがとうございます。
『歯が抜けてから、よく噛めないな!!』
『歯が抜けてから、身体の調子が悪いな!!』
『歯が抜けてから、胃が痛くなった!!』
など、噛み合わせが悪くなって不調を訴える方が多くなりました。
今回は、『歯並び・噛み合わせと全身疾患、健康寿命の関係』についてお話しさせていただきます。
QOL(キュー・オー・エル)とは
歯の健康が全身の健康やQOL(キュー・オー・エル)に影響するのをご存知ですか?
QOL(キュー・オー・エル)という言葉を聞いたことがありますか?
QOLとは、「Quality Of Life(クオリティ・オブ・ライフ)」の頭文字をとってつくられた言葉です。
クオリティ・オブ・ライフ、つまり「生活の質」とか「生命の質」もしくは「人生の質」と訳されています
その人の生活や人生の豊かさを示す際の指標となる概念と言えます。
QOLとは物質的な豊かさだけではなく、精神的な豊かさや満足度も非常に重要な意味を持ちます。
「健康寿命」と「寿命」の違いとは
「健康寿命」と「寿命」の違いをご存知ですか?
最近雑誌やテレビで、「健康寿命」という言葉をよく耳にします。
しかし、「健康寿命」と「寿命」は、どう違うのでしょうか?
「寿命」とは、一般的に言われている人が生まれてから亡くなるまでの期間を言います。
それに対して「健康寿命」とは、健康に元気に日常生活を送れる期間のことを言います。
日本は、男女とも世界トップクラスの長寿国ですが、すべての人が生涯にわたって健康でいきいきと生活できているわけではありません。
健康上に問題が生じて支援や介護が必要になるなど、日常生活に制限が出てくる場合もあります。
単に長生きするのではなく、心身ともに自立し、健康に天寿を全うしたいものです。
食事や運動、生活習慣などに気を付ける人も多いですが、歯の健康を守ることは一番に重要なことと位置付けられています。
日頃「歯が痛い」、「歯がしみる」、「噛みにくい」などといった症状がなければ、お口の健康を意識しない人も少なくありません。
しかし、普段から、歯や口の中の健康にもっと関心を持って、疾病の予防に努めることが大切です。
歯の健康はお口だけの問題でなく、全身の健康や健康寿命にも影響します。
歯を失って噛めなくなると、さまざまな全身疾患のリスクを高め、QOLの低下を招く可能性があるのです。
歯の喪失が招く全身への悪影響
「噛む」という動作は、ただ食べ物を飲み込みやすくするだけではありません。
噛むことは、脳を刺激し活性化し、食欲をコントロールしたり、お口の健康を維持するなど、さまざまな効果があります。
そのため、歯を失って噛めなくなってしまうと、さまざまな悪影響が懸念されます。
歯を失ってしまったら、ブリッジ・入れ歯・インプラントといった歯を補う治療を行い、咀嚼機能を維持することが大切です。
たとえ1本の歯であっても、抜けたままにしていると、他の歯や歯並びに悪影響を及ぼします。
歯を失うことがないように、病気の予防に努めるのはもちろん、歯を失ったら抜けたままにしないことが大切です。
また、小さな頃から歯並びが悪いと、噛むといった機能が低下し脳の働きを悪くし、学習機能の低下なども招きます。
全身への悪影響
認知症リスクが高まる
ほとんどの歯を失っていながら、入れ歯などを使用せず歯がない状態を続けていると、自分の歯が20本以上残っている人に比べて、認知症の発症リスクがおよそ1.9倍に高まるという調査結果があります。
また、あまり噛めない人は、何でもよく噛める人と比較すると1.5倍認知症の発症リスクが高まるというデータもあります。
つまり、残っている歯が多い人ほど、認知症発症リスクが下がるということです。
噛むという行動は脳に色々な刺激を与え、脳の血流量を増やします。
しっかり噛むためには自分の歯を1本でも多く残すことが大切です。
また、歯を失ってしまった場合には、抜けたままにせず、適切な歯科治療により咀嚼機能を回復することが大切です。
脳血管疾患のリスクが高まる
脳血管疾患は介護が必要になる主な原因の一つです。
そして、突然死を招くことで知られている恐ろしい病気のひとつです。
歯を失うことは脳血管疾患リスクを高めることにもつながります。
それは、歯の喪失で噛めないことにより、食べ過ぎを招きやすくしてしまうことが原因です。
それにより、高血糖や脂質異常の原因になり、脳血管疾患のリスクが高まります。
しっかり噛むために歯を守り、食生活の乱れを招かないようにすることが大切です。
また、脳血管疾患は歯周病との関係も深く、歯周病の人は歯周病でない人に比べて、脳梗塞になる可能性が2.8倍にも高まることがわかっています。
残っている歯も失いやすくなる
抜歯が必要になったら、その箇所を補うための治療(補綴治療)が必要となります。
しかし、歯が抜けたまま放置してしまうと、歯並びの乱れを招きます。
また、歯がなく噛めないことから、偏った噛み癖がつき、さらに悪い歯並び・噛み合わせを進行させてしまいます。
歯が抜けたまま放置してしまうと起こる悪影響
歯並びや噛み合わせが悪くなると、口の中が不衛生になりやすく、特定の歯に負担がかかると、その歯を失うリスクを高めてしまいます。
歯は、上下・両隣の歯と接触することにより、安定した位置を維持しています。「1本くらいなくても問題ない」ということはないのです。
胃腸に大きな負担をかける
よく噛んで食べると、食べ物が小さく粉砕され、消化しやすいかたちになります。
さらに、咀嚼には唾液の分泌を促進する効果もあり、消化・吸収を助けます。
唾液には、お口の健康を維持する働きもありますが、消化・吸収を助ける消化酵素としての働きもあります。
よく噛むことは、咀嚼によるこれらの働きによって、消化・吸収をスムーズにし、胃腸の負担を軽減します。
栄養状態の悪化と体力の低下
失う歯の本数が多くなるほど、咀嚼機能が低下しやすくなります。
硬い食品を避けるようになり、噛まなくても食べられる、やわらかい食品ばかりを摂取するようになります。
これにより、摂取する食品の偏りや栄養状態の悪化を招いてしまいます。
栄養バランスが乱れた状態が続くと、筋肉量の低下を招き、運動能力の低下や運動量・体力の低下を招きます。
このことが、さらなる栄養状態の悪化や体力の低下を招き、悪循環に陥る場合もあります。栄養を摂取するという面だけでなく、食べる楽しみを感じることは、生きる力の源でもあります。
栄養状態や体力を維持するため、そして、QOL低下を防ぐため、「噛める歯」を守り、バランスの良い食事を心がけることが大切と考えられます。
歯周病
歯周病は日本人の8割が罹患しているとも言われています。
近年は低年齢化が指摘されています。
子供にも全体の4割程度に、軽度の歯周病(歯肉炎)症状がみられるという報告もあります。
今や歯周病は、大人も子供も注意しなければならない病気となっているのです。
歯周病の恐ろしさは、歯を失う原因となることだけではありません。
歯周病は糖尿病とも関連しています。
糖尿病の人は歯周病になりやすく、糖尿病と歯周病が相互に影響し合うことがわかってきています。
歯周病になると糖尿病の症状が悪化しやすく、歯周病の症状改善が糖尿病の改善につながることがわかっています。
つまり、歯周病と糖尿病のどちらも治療しなければ、どちらの症状も改善しないということです。
全身の健康とQOL(クオリティ・オブ・ライフ)の向上には予防歯科が大切です
口の中の健康は全身の健康、そしてQOLに大きく影響しています。歯を失うことは社会性にも大きく影響するため、心の健康にも悪影響を及ぼしかねません。 噛むための歯を守ることが、QOL、さらには健康寿命を延ばすことにつながります。
歯を守っていくための取り組みが早い段階から必要であり、予防歯科が大変重要となってきます。
健康寿命を延ばすためには、歯は大変重要になります。
常日頃から口腔ケアを怠らないようにしていきましょう。
子供の矯正と大人の矯正の違い
2024年2月15日こんにちは。
墨田区鐘ヶ淵 鐘ヶ淵駅西口より徒歩3分の歯医者
「にしざわ歯科医院」 院長 西澤克哉です。
いつもブログを読んでいただきありがとうございます。
子供の時から矯正するのか、大人になってから矯正するのかで、全く別の治療方法になります。
また、矯正治療は始める時期によって使う装置や治療方法は全く異なります。
『早くから矯正治療を開始したほうが良いのかしら?』
『痛そうだから、小さい時からさせないほうが良いのかな?』
『先生は小さい時から行ったほうが良い!と言うけど…。』
このように色々な話を耳にします。
では、子供の矯正と大人の矯正、どのような違いがあるのでしょうか?
今回はこのことについてお話しさせていただきたいと思います。
大人と子供の矯正治療の違いについて
ここで言う「子供の矯正治療」とは、乳歯が生えている状態で開始する矯正治療を指します。
そして、すべての永久歯が生え揃っている状態での矯正治療を「大人の矯正治療」と表現していきます。
大人の矯正治療
大人になってから行う矯正治療の目的は、現状の骨格にあわせて歯を動かし歯並びを改善していくことです。
大人の矯正治療の場合、歯並びの土台となる顎の形状(骨格)は定まってしまっているため、その範囲内で最適な歯並びを目指していきます。
まず、すべての永久歯が生え揃ってから行う大人の矯正治療ですが、大体永久歯がすべて生え揃うのは、個人差はありますが、大体12歳〜18歳の間と言われています。
そしてこの時期から行う矯正治療を大人の矯正と言います。
世間一般に知られている矯正治療とは、歯にブラケットと呼ばれる矯正装置をつけワイヤーを付けて引っ張りながら行うワイヤー矯正や、今注目されていて多く行われている透明のマウスピースを使って矯正治療を行なっていく、アライナー矯正(インビザラインという言葉で有名です)があります。
大人の矯正治療の場合歯が並ぶスペースがない場合が多くの症例で見られ、抜歯をすることで隙間を作り、歯並びを整えていきます。
子供の矯正治療
子供の矯正治療の目的は、将来的にこうなるであろう骨格を予測し、顎を広げながら悪い部分を改善していく治療であることです。
子供の矯正治療は、乳歯歯列もしくは混合歯列(乳歯と永久歯が混ざって存在する時期)に開始します。
おおよそ小学生から中学生になるぐらいまでの時期に行う治療(Ⅰ期治療)と、大人の歯が揃った時期から開始する(Ⅱ期治療)の2段階に分けて矯正治療を行います。
Ⅰ期治療(5歳〜11歳ごろ)は顎の成長を促しつつ、前歯と奥歯の生え方をコントロールしていき、永久歯が並ぶスペースを作ることを目的として行います。
具体的な治療方法としては、取り外しができる拡大装置や、顎の成長を促す装置などの矯正装置を使用して、永久歯が出やすい環境を整えたり、歯の生えてくる方向を修正したりしていきます。
Ⅱ期治療(12歳〜)は大人の矯正治療とほぼ同様な手順で歯並びをキレイに整えていく治療になります。
子供の矯正治療のメリットは
成長を期待した治療ができる
子供の矯正治療の最大なメリットは、身体の成長を利用できることにあります。
下顎を前に成長させたり、もしくは上顎の歯列を拡大し成長させることができます。
これが最大のメリットになります。
成長を利用した矯正治療は成長が止まってしまった大人の場合には行いたくてもできません。
抜歯の可能性が減る
成長を利用した治療により、骨格的な前後の不調和がなくなります。
このように子供の矯正治療では、次に生えてくる永久歯が綺麗に並ぶようにスペースを作る治療を行います。
そのため、大人の矯正をするⅡ期治療のときには、抜歯をする必要がないケースがほとんどです。
できるだけ健康な歯は抜かずに残しておきたいです。
将来的に矯正治療をするつもりなのであれば、子供の頃から矯正治療をお勧めする要因の一つになります。
横顔がきれいになる
骨格的な不調和が改善されるため、横顔もきれいになります。
出っ歯に見られるケースではでは、上顎と下顎のバランスが良くなるため、口元が横から見た場合にきれいになります。
また、受け口の方は下顎が出ている印象がだいぶなくなります。
顎の歪みを抑制できる
歯が変な方向から生えてくると、その歯並びのせいで、顎が歪んでしまうことがあります。
早期に顎の歪みを発見できれば、子供の矯正治療によりその悪い歯並びを治すことによって、顎の歪みを正すことができます。
小児矯正で使う矯正器具
拡大装置
狭窄している歯列を、奥歯のポジションを調整しながら広げていく装置のことを言います。固定式の物と取り外しができる物があります。
リンガルアーチ
歯の裏側から固定式の矯正器具をつけて、歯を動かしたり、その位置へ固定したりします。
このように骨格の成長を利用した矯正装置を使いながら治療を行なっていきます。
大人の矯正治療のメリットは
○口元の見た目がキレイになりコンプレックスが解消される
○噛み合わせが良くなり顎関節症などのリスクが低くなる
○虫歯や歯周病になりにくくなり歯の寿命が長くなる
など
何より、見た目がキレイになり長年のコンプレックスが解消し、人前で話すことが嫌じゃなくなったなど精神面でのメリットが大きいです。
もうよい年になったし歯列矯正を始めるのは遅すぎるかな…と相談される方が多くなってきています。
矯正治療に関してはいつ開始しても遅いということは決してありません。
歯を支える顎の骨(歯槽骨)がしっかりしていれば何歳になっても、歯列矯正をすることができます。
いつまでも健康な歯で食事がしたいと、50代以上の方でも矯正治療を始める方もいらっしゃいます。
私自身も46歳の時に矯正治療を行いました。
矯正治療は見た目が綺麗になるだけでなく、噛み合わせが良くなりしっかりと噛めることで全身への健康にも良い影響を与え続けます。
矯正治療の期間や費用
子供の矯正と大人の矯正治療の費用はどれくらいかかるのでしょうか?
子供の矯正治療の期間や費用
子供の矯正治療のⅠ期治療にかかる期間は、お子様の歯の状態により異なりますが、概ね1年〜6年程度です。
軽度なものであれば1年ほどで改善されますが、難しいケースの場合ですと長い期間矯正装置を使い続ける必要があることもあります。
そして費用に関しては、Ⅰ期治療では当院では33万円(消費税込み)になります。
1期治療ではいろいろな装置を使って行なっていきますが、すべての経費を含んでの金額になります。
Ⅱ期治療に移行する場合は当院では大人の矯正金額から、1期治療の金額を除いたものになります。
費用としては33万〜66万円(消費税込み)になります。
Ⅱ期治療の期間は大人の矯正治療同様に2〜3年程度になります。
大人の矯正治療の期間や費用
大人の矯正治療にかかる期間は概ね2年〜3年程度です。
しかし、重度の不正咬合の方などは3年以上かかることもあります。
費用に関しては、ブラケットによる矯正治療かアライナーの矯正治療で異なりますが、当院では66万円〜99万円(消費税込み)になります。
いかがでしたか?
違いが少しわかっていただけましたでしょうか?
矯正治療は目的や価値観によって開始時期は異なります。
お口のことでお悩みの方はぜひ歯科医院を受診され、ご相談しれ見てください。
悪い歯並びを放置するデメリット
2024年2月8日こんにちは。
墨田区鐘ヶ淵 鐘ヶ淵駅西口より徒歩3分の歯医者
「にしざわ歯科医院」 院長 西澤克哉です。
いつもブログを読んでいただきありがとうございます。
「歯並び悪いけど大人になれば治るのかしら !!」
「前歯出てるけど愛嬌があって良い感じ !!」
「顎がしゃくれてきた !! どうしましょう?」
日本人は、欧米人と比べると「顎が小さい」ので歯並びも乱れがちです。
色々な不正咬合が多いのが特徴です。
そうした悪い歯並びを治療せず放置すると、さまざまなデメリットが生じます。
今回はこの「悪い歯並びを放置するデメリット」を中心にお話しさせていただきます。
お子様の歯並びが他の方に比べて悪い場合、矯正治療を受けさせるべきか、そのままにしておいたほうが良いのか悩まれるケースが多いのではないでしょうか?
歯科医師の立場から話させていただきますと、結論として小児矯正をおすすめします。
理由を含めお話しさせていただきます。
悪い歯並びとは
まず「悪い歯並び」とはどのような状態なのかを知っておきましょう。
出っ歯
上顎の前歯が前方に飛び出した状態です。
下唇を噛む癖や、指しゃぶりなどが原因で起こります。
また、遺伝的要素や成長過程でのアンバランスが原因とされる場合もあります。
出っ歯のお子様は、前歯が前方に突出しているため、唇を押し出してしまい、口が閉じにくくなります。
そのため、唾液の分泌量が減って虫歯や歯周病になりやすいです。
オープンバイト(開咬)
上の歯と下の歯を噛み合わせた際、前歯に隙間ができて噛み合わない状態のことを言います。
指しゃぶりを長期間続けたり、口の周りの筋肉が弱かったりすることが原因で起こると考えられます。
前歯同士が噛み合わないため、奥歯に負担がかかってしまい、歯や顎を痛めてしまう可能性があります。
乱ぐい歯(叢生)
歯の大きさが大きかったり、顎が小さいことが原因で、歯の生えるスペースが狭いためガタガタに歯が並んだ状態のことを言います。
歯並びがガタガタなので見た目でも目立つケースが多いです。
歯と歯が重なり合っている部分が多いため、歯磨きがしにくく虫歯や歯周病になりやすいのはもちろんのこと、口臭の原因になります。
すきっ歯(空隙歯列)
歯と歯の間に大きな隙間が生まれている状態のことを言います。
先天的な理由や、生まれつき歯の本数が足りないことや、歯が小さいことなどが原因で起こります。
すきっ歯のまま放置していると、食べ物のカスが歯と歯の隙間に挟まりやすくなり、虫歯や歯周病のリスクを高めてしまいます。
息が歯と歯の間から漏れてしまい発音が悪くなることも問題です。
受け口(反対咬合)
下の前歯、もしくは下顎が前方に突出している状態のことを言います。
骨格的な影響を受け、顎がしゃくれ上がることも特徴といえます。
遺伝的要因や、口呼吸の癖、下顎を前方に突き出す癖などが受け口になる主な原因とされています。
また、発声がしにくい、唇が閉じにくい、発音がしにくいといった問題が起こります。
悪い歯並びを放置した場合のリスク
子どもの悪い歯並びの放置はおすすめしません。
歯並びが悪いことが原因で、色々な悪影響をもたらします。
子どもの悪い歯並びを放置すべきでない理由をご説明します。
虫歯や歯周病に罹患するリスクが上がる
歯並びが悪いと、歯垢や歯石が溜まりやすく、虫歯や歯周病を引き起こしやすくなります。
日本人の不正咬合で1番多いのは歯がデコボコに生えてくる叢生です。
歯が重なり合っているため、ブラッシングによる歯垢の除去が難しいのが特徴です。
受け口や出っ歯の場合では、上下の唇が閉じにくくなることに注意が必要です。
口を開けたままの状態が長いと口腔内が乾燥し、雑菌が繁殖しやすくなります。
そのことから虫歯や歯周病になりやすくなります。
食べ物が噛みにくくなる
歯並びが悪いと噛み合わない場所が生まれ、食べ物を上手に噛目無くなります。
硬い物が食べにくいせいで強く噛み合わせなくなり、顎への刺激が少なくなり、顎の成長が止まってしまう場合もあります。
また、噛み合わせが悪いと食べ物をしっかり噛み砕くことができず、唾液も十分に分泌されず、消化しにくい状態のまま嚥下されてしまい、胃や腸などの負担が増加し、消化器系の疾患になりやすくなります。
発音がしにくくなる
歯と歯の間に隙間がある場合は、空気が漏れて発音がしにくくなります。
とくに受け口の場合は舌の位置まで変わるため、周囲の人が言葉を聞き取りにくくなるせいで、コミュニケーションに問題が生じる恐れがあります。
サ行・タ行・ナ行・ラ行は、歯の裏側に舌をくっつけて発声しますが、歯のすき間から息が漏れてしまうような歯並びの場合、明瞭な発音が難しくなります。
顔貌が変化してしまう
歯並びが悪いと、噛み合わせに問題を抱えるケースが多いのが問題になります。
噛みやすい片側ばかりで噛む偏咀嚼などが起こりやすくなります。
偏咀嚼は、顎や口周りの筋肉の左右バランスを崩し、顔面の左右非対称や歪みなどを起こしてしまいます。
正面からの顔貌が歪んで見えるケースをよく見かけます。
顎関節症になりやすい
顎関節症とは、顎の関節や顎を動かす咀嚼筋に異常が起こり、「顎が痛い」、「口が開きにくい」、「変な音がする」、「ものが噛みにくい」といった症状が現れる病気です。
顎に何らかの症状を持つ人は全人口の7~8割に上るとされています。
顎関節症の原因には様々なものがありますが、歯並びや噛み合わせの悪さからくるものが多いとされています。
不正咬合によって歯と歯が噛み合うところが限られていると、特定の歯に過剰な力がかかってしまいます。
人間の噛む力は非常に強く、就寝中に歯ぎしりや食いしばりなどの行動がある場合は、更に歯に負担がかかっています。
過剰な負荷がかかった力は歯から顎に伝わり、顎関節に悪影響を与えます。
子どもの歯並びを悪化させないためには
口呼吸をやめさせる
鼻詰まりなどで口呼吸が癖になっている子どもは多くいます。
口呼吸で口が開きっぱなしになっていると、口周りの筋肉が緊張せず発達しません。
それが原因で特に上顎の発達が妨げられ、歯並びにも影響を与えます。
口呼吸しているようならすぐに止める努力をさせてください。
指しゃぶりの癖
指しゃぶりを長時間続けると、指の圧力で上の前歯が前方に押し出されてしまいます。
また、指の吸引力により内側に引っ張られ、開咬の症状が現れます。
指しゃぶりは1~2歳の時点では習慣的に行いますが、段階的に減り、5歳までになくなることがほとんどです。
しかし、5歳くらいになっても指しゃぶりの癖が抜けない場合、歯並びに大きな影響を与える恐れがあるため、注意が必要です。
食事ではよく噛む
食事ではよく噛んで食べるように指導しましょう。
よく噛むことで、口の周りの筋肉が成長し、唇をしっかり閉じるといったこともできるようになります。
筋肉を鍛えることにより、顎の発育も促します。
顎の形、大きさををしっかり成長させ安定させることで、きれいな歯並びを整える環境が作られます。
子どものうちに歯並びを矯正した方が良い理由
お子様の歯並びが悪いと感じたら、小児矯正による歯並びの改善治療が良いと思われます。
成人矯正と小児矯正は治療内容が全く異なります。
小児矯正は2ステージで矯正治療する
Ⅰ期治療
3歳~12歳くらいまでの永久歯が完全に生えそろう前に行う矯正です。
成長期の特性を利用し顎の発育のコントロールを行なっていきます。
この時期に歯の出てくるスペースを作って行ったり、永久歯が生えやすい環境を整えていきます。
よってこの時期の治療で不正咬合を極力減らし、次のⅡ期治療へとスムーズに移行できます。
このⅠ期治療で軌道修正ができ終了というケースも多く見られます。
Ⅱ期治療
永久歯に生え揃ってから行う治療です。
1期治療によりベースと整えた環境を利用し、歯並びの改善を行なっていきます。
ある程度悪い環境から改善されているため、短期間の治療で効率良く歯列矯正しやすくなります。
成人矯正では歯のデコボコを治すため、抜歯するケースがほとんどです。
しかし、Ⅰ期治療で顎の成長をうまくコントロールできたケースでは、抜歯本数が少なかったり、抜歯をしないで済むケースもあります。
このことは将来に渡り大変重要なメリットになります。
子どもの歯は大人よりも歯が動きやすいということも大変重要なメリットであるため、矯正による負担も減らせるのが期待できます。
子どもの悪い歯並びを放置すると、症状が悪化したり、虫歯・歯周病の原因になったりします。
歯を並べる基礎になる顎の成長を促せるⅠ期治療から始められる点は小児矯正の大きなメリットです。
ですのでお子様の歯並びが悪いと感じたら、矯正治療はできるだけ早く始めましょう。
お口ポカーン について
2024年1月25日こんにちは。
墨田区鐘ヶ淵 鐘ヶ淵駅西口より徒歩3分の歯医者
「にしざわ歯科医院」 院長 西澤克哉です。
いつもブログを読んでいただきありがとうございます。
「あら、うちの子お口が開きっぱなしだわ !!」
「お口がポカーンとしているぞ !!」
なんて感じたことはありませんか?
小さいお子さんのうちは可愛らしく見えますが、ある程度大きくなってからもお口が開いたままだと、ちょっとだらしなく見えてしまいます。
今回はこの「お口ポカーン」についてお話しさせていただきます。
当院の患者さんの中にも、テレビを観ているときや、寝ているときなどにお口がポカーンと開いている症状があるお子様子は少なくありません。
実はこのお口ポカンは列記とした『病気』なんです。
そして他の病気を誘発する『要因』にもなりうります。
今このお口ポカンとは診断用語では「 口唇閉鎖不全症 」と呼ばれる疾患となります。
ですから、正しい治療法によってしっかり治していく必要があります。
新潟大学などの研究チームによると、日本人の子どもの3割で日常的に口が開いているとされています、
いわゆる『お口ポカーン』の症状が見られることがわかったと発表しました。
小児歯科医院を受診する3歳から12歳のおよそ3,400人を対象として、その保護者にアンケートを実施したところ、子どもの30.7%が、お口ポカンを示していたということで、研究チームは、『お口ポカーンは現代の新たな疾病だ』と指摘しています。
研究チームは、「子どもの『お口ポカン』は、成長期においては自然治癒が難しい疾病であると考えられる」としています。
お口が開いてしまう原因
お口をポカーンと開けたままにしてしまうのはお子様の不注意と思われがちですが、そこには「お口を閉じるのが難しい理由」が隠れている可能性もあります。
その1番の原因は口呼吸とされています。
小児の口呼吸と関連するチェック項目
✧ 唇にしまりが無い
✧ 日中よく口が開いている
✧ 唇が乾燥している(上唇がめくれている)
✧ 出っ歯である
✧ 唇が厚い
✧ 口を開けて眠る
✧ 口がよく乾いている
✧ 上唇と下唇との間から歯が見える
✧ くちゃくちゃ音を立てて食べている
✧ 食べているときに口を閉じている
✧ 日中や睡眠中に鼻が詰まっている
✧ 口臭がある
✧ いびきをかいている
✧ 喘息である
✧ 花粉症である
✧ 猫背である
✧ 食事中に水分をあまり取らない
などが考えられます。
一つでも当てはまる場合は、口呼吸をしていると思っていただき、なんらかの治療を行なっていく必要があります。
お口ポカーンのデメリット
実はこの口呼吸(お口ポカーン)はとっても危険なことなのです。
どのようなデメリットがあるのでしょうか?
虫歯になりやすくなる
口呼吸によってお口の中が乾燥してしまうと、唾液が分泌されにくくなってしまいます。
通常、歯は唾液に含まれる成分によって初期の虫歯を修復していきます。
ですが、唾液が少なくなってしまうとこの働きが弱くなり、虫歯の進行がすすんでしまうとされています。
また、唾液にはリゾチームといった酵素も含まれており殺菌作用もあります。
歯周病になりやすく、口臭もきつくなる
唾液の量が少なくなると、唾液の殺菌作用によって洗い流されていたお口の中の細菌も繁殖しやすくなってしまい、歯周病に罹患しやすくなります。
お口の中の細菌の量が増えると歯周病の原因だけではなく、口臭の原因になる菌も増殖し、結果口臭もきつくなってしまいます。
出っ歯になりやすい
口呼吸をしていると、上顎の成長に影響が出てしまいます。
通常、お口を閉じている状態では舌が上顎にくっついている状態になっていて、この舌の力によって上顎が広げられることで成長していきます。
ですが、口呼吸により口が開いている状態だと、上顎を広げるための力が作用しません。
上顎が正常に広がらないと、歯が生えてくるスペースが確保できず、歯が前に飛び出してしまい、出っ歯になってしまいます。
顔にゆがみが発生しやすい
口呼吸の人は唇に力が入らないため、お口の周りの筋力がどんどん低下してしまいます。
そのため、頬や口元の筋肉はたるみ、お口の筋肉とつながっているお顔全体の筋肉にも影響し、目元まで垂れ下がってしまいま。
また、写真人のようなアデノイド顔貌と呼ばれる独特の顔つきになってしまう事にもつながります。
インフルエンザなどのウィルス性疾患に感染しやすい
鼻呼吸をしている人の場合は空気中のウイルスやほこりを鼻から吸い込んでも、鼻毛や鼻水などがフィルターとして働き、ウイルスや細菌のほぼ全てを防いでいると報告されています。
しかし反面、口呼吸をしている人の場合、このフィルターが機能せずウイルスが口腔内から直接体内に入ってしまうため、インフルエンザなどのウィルス性疾患に感染しやすくなってしまいます。
いびきや睡眠時無呼吸症候群を引き起こしやすい
口呼吸は、いびき発生の原因にもなります。
いびきをかいている状態では熟睡できず、疲労もなかなか取れなくなります。
また、口呼吸により舌に力が入りにくくなってしまうと、睡眠時に舌が起動を塞いで睡眠時無呼吸症候群になりやすい状態を作ってしまいます。
口唇閉鎖不全(お口ポカーン)治療法
耳鼻咽喉科への受診
アレルギー性鼻炎等の慢性的な鼻炎や花粉症によって、どうしても口呼吸せざるを得ないという方は結構いるのではないでしょうか。
当院でも、よく親御さんからそのような話を聞きます。まずは、耳鼻咽喉科での受診をおすすめします。
口腔周囲筋のトレーニング(MFT)
食べる(咀嚼)時、飲む(嚥下)時、発音時、呼吸時の舌や口唇の位置の改善を目的とした各種トレーニングです。 MFTを継続して行うことで口腔周囲の筋肉バランスを整え、癖を直すことができます。
スポットポジション
スポットポジションとは、お口の中の、舌があるべき位置のことです。
上の真ん中の前歯2本の真裏にある膨らみを「スポット」といいます。
舌先がスポットに当たり、舌全体が上顎に吸い付いている状態が正しい位置、つまり「スポットポジション」です。
この位置に舌を正しく持っていけるか、歯科衛生士と練習していただきます。
あいうべ体操
この「あいうべ体操」は、九州にあるみらいクリニックの今井先生が考案されたものです。
「あいうべ体操」は口腔周囲筋をしっかりトレーニングするのに有効で、口呼吸を鼻呼吸に改善していく口の体操のことです。
いつでもどこでも誰でもできる「あいうべ体操」は地道に続けると、舌に力がついてきて自然に口を閉じることができるようになります。
そして、口を閉じるということは鼻で呼吸をしっかりしているということを表します。
乳歯が残っている時期からの矯正治療
口呼吸がひどく口蓋(上顎の窪み)が深い場合は積極的に上顎の歯列の拡大治療を行い、そのことで気道の通りをよくします。
このことはとても成長期の大事な治療になりますので、思い当たる方はぜひ歯科医院を早期に受診されていただきたいです。
いかがでしたでしょうか?
口ポカーンは病気であることが理解いただけたでしょうか?
お子様で思い当たる方がいらっしゃいましたら、早い時期に1度歯科医師にご相談ください。
乳歯が早く抜けてしまったら
2024年1月18日こんにちは。
墨田区鐘ヶ淵 鐘ヶ淵駅西口より徒歩3分の歯医者
「にしざわ歯科医院」 院長 西澤克哉です。
いつもブログを読んでいただきありがとうございます。
『 他の子に比べてすごく早く乳歯が抜けてしまった‼️ 』
『 まだ4歳なのに歯が抜けちゃった‼️ 』
『 虫歯がひどくて歯が見えなくなちゃった‼️ 』
など乳歯が早く抜けてしまって心配になられる親御様は多いのではないでしょうか?
今回は『 乳歯が早く抜けてしまったら 』についてしっかりお話しさせていただきます。
乳歯が早く抜けてしまったら
乳歯は永久歯が出てくる時期になると自然と抜け落ちその役目を終えます。
ところが生え変わりの時期よりも前に、ひどい虫歯などが原因で乳歯を抜かなければならないケースはたくさん見かけます。
そのことは後から生えてくる永久歯の歯並びに影響を与えてしまうということです。
では、もし乳歯が生え変わりの時期よりも早く抜けてしまった場合はどうすればよいのでしょうか。
乳歯が早く抜けた場合の影響
歯並びや顎の成長過程で異常が起こる原因として、実は「早く抜けた乳歯が原因」が占める割合は全体のおよそ20%ほどと言われています。
永久歯が抜けたことで起こる成長過程のトラブルは5%くらいなので、乳歯が早く抜けてしまうことの影響がどれくらい大きいか理解していただけると思います。
乳歯が早く抜けるのはどうしてよくないのでしょうか?
乳歯は上下左右合わせて20本あります。
大人の歯は親知らずを除いて28本です。
乳歯の下から大人の歯、つまり永久歯が生えてくることで次第に歯がグラグラし、自然と抜け落ちます。
乳歯は永久歯の生え変わりを待って役目を終了します。
乳歯の歯並びは永久歯の歯並びにも大きく関わるため、乳歯は生え変わりまで大切にしておかなければいけません。
乳歯が早く抜けてしまった場合のトラブルとして以下のようなことが考えられます。
乳歯が抜けた周囲の歯が動く
乳歯が早く抜けてしまうと乳歯があった場所には隙間ができます。
隙間の周囲にある歯は今までは抜けた乳歯によって支えられていました。
乳歯が抜けるということは、支えとなる歯がなくなったということなのです。
このため、抜けた乳歯の周囲の歯が、抜けた隙間に向かって色々な方向に動き始めます。
隣の歯は隙間に向かって傾いてきて、噛み合わせていた歯は伸びてくるといったように歯が自由に動き始めます。
抜けた乳歯の後から出るはずの永久歯が変な位置から生えてくる
抜けた乳歯の下には永久歯が育っていて、生えてくる時期を待っています。
早くに抜けてしまってできた隙間に向かって、時間が経てば経つほど周囲の歯が動き寄ってきます。
このため、本来生えてくるべき永久歯が生えるスペースがどんどん狭くなってきてしまいます。
それでも永久歯は出てこようとして、本来の歯並びからずれた位置に出てくることになります。
よく見られるのが上の歯の犬歯が八重歯になってしまうケースです。
乳歯が早く抜けた場合の対処法
では、乳歯が早く抜けてしまった場合、じっと待つしかないのでしょうか。
そんなことはありません。
保隙と保隙装置
乳歯が早期に抜けてしまった場合には保隙(ほげき)治療を行います。
保隙とは読んで字のごとく歯の隙間を保つことです。
永久歯がしっかり出てくるまで隙間を保ち続け、永久歯の萌出を待ちます。
この隙間を保ち続けるためにお口の中に装置を付け、治療を行いますます。
この装置のことを保隙装置と呼びます。
以前と異なり、現在では保険診療の適用を受けた保隙装置もあります。
保隙の注意点
保隙は、あくまでも乳歯があった場所の隙間がなくならないようにするための処置であり、保隙装置はその目的のためだけに作られる装置です。
ですので、隙間がなくなることで生じる歯列不正を予防することはできても、癖などその他の理由で生じる歯列不正まで防ぐことはできません。
保隙装置の種類
保隙装置は、歯に直接接着させて使用する固定式保隙装置と、取り外しできる可撤式保隙装置の2種類が主に使われています。
固定式保隙装置
固定式保隙装置としては以下のような物があります。
クラウンループ
クラウンループは、乳歯に太い針金のついたクラウンという被せ物をつけて隙間を守る保隙装置です。
バンドループ
バンドループは、歯に太い針金のついた矯正用のバンドを巻くタイプの保隙装置です。
クラウンバー・インレーバー
クラウンバーやインレーバーは、クラウン、もしくはインレーという詰め物から太めの棒状の金属を伸ばしている保隙装置です。
ディスタルシュー
ディスタルシューは、最も後ろにあたる乳歯である第二乳臼歯がなくなった場合の保隙装置です。
第二乳臼歯の後ろの第一大臼歯という永久歯がきちんと生えてくるように誘導するのが目的です。
リンガルアーチ
リンガルアーチは、舌側弧線装置ともよばれ、左右に1本ずつ奥歯にバンドをつけて、バンドを太い針金で繋げ、その針金から細い針金を伸ばして隙間を守る保隙装置です。
可撤式保隙装置
可撤式保隙装置は、入れ歯のようなものをいれ、金具を歯にかけて安定を図るタイプの保隙装置です。
小児義歯ともいいます。
固定式保隙装置と比べると、サイズが大きく違和感も大きいのですが、抜けた乳歯がたくさんあるような場合に対応できるのが利点です。
矯正装置と同じように、保隙装置が付いていると装置の周りに汚れが溜まりやすくなります。お子さんがまだ小さいうちは、保護者の方が仕上げ磨きを行い、お口の中を清潔に保ってあげることも大切です。
いかがでしたでしょうか?
乳歯は抜けちゃう歯だからどうでもよい。
と軽く考えられた方もいらしゃったと思います。
乳歯の早期脱落は後継永久歯にも悪い影響を与えるだけではなく、噛み合わせや姿勢にも影響します。
周りのお子様達よりかなり早い時期に乳歯が抜けてしまった場合は、早期に歯科医院を受診されるようにしてください。
前歯の隙間が気になる
2024年1月7日こんにちは。
墨田区鐘ヶ淵 鐘ヶ淵駅西口より徒歩3分の歯医者
「にしざわ歯科医院」 院長 西澤克哉です。
いつもブログを読んでいただきありがとうございます。
『 前歯の真ん中に隙間があって気になる‼️ 』
『 全体的に隙間があって気になる‼️ 』
『 小さい歯があって隙間がある‼️ 』
今回は前歯の隙間、『 歯のすきっ歯 』についてしっかりお話しさせていただきます。
すきっ歯とは
歯と歯の間に隙間が空いている状態をいう言葉で、特に前歯のすき間が広い人は「すきっ歯」と言われ、目立つことを気にされている方も多いものです。
歯科ではすき間の多い歯並びを「空隙歯列」(くうげきしれつ)、特に前歯に隙間がある状態を「正中離開」と言います。空隙歯列は日本人の歯並びの中でも「叢生(でこぼこした歯並び)」、「上顎前突(出っ歯)」に次いで多い歯並びとされています。
すきっ歯になる原因について
遺伝的に歯が小さい
遺伝的に歯が小さい場合、通常の歯に比べると歯と歯の間に大きくスペースが開いてしまうため、すきっ歯になりやすくなります。
顎が大きくて歯が小さいなど、顎のサイズと歯の大きさのアンバランスが生じる場合、すきっ歯になる原因の一つです。
またサイズだけでなく遺伝的に歯の形が生まれつきに悪い場合も隙間が開きやすく、すきっ歯になる確率が大きくなります。
歯が生えてこなかった・本数が少ない
成人の歯は親知らずを除くと上下合わせて28本です。
通常より歯の本数が少ない方は、すきっ歯になりやすい傾向があります。
まれに生えてくるはずの歯が生えてこなかったり、先天的に歯の本数が少ない場合は生えてくる予定だった場所にスペースが空くことですきっ歯になってしまいます。
生えるはずの歯が歯肉や顎の骨に埋まっている場合、生えてくるはずだったスペースが空いてすきっ歯になってしまいます。
過剰歯がある・本数が多い
通常よりも歯が少ないことですきっ歯になることがありますが、逆に通常より歯が多い場合でもすきっ歯になる可能性があります。
上の前歯の間にある顎の骨に「過剰歯」と呼ばれる歯が埋まっていることがあります。
過剰歯が上の前歯の間にある場合、過剰歯に押されることで前歯の距離が離れてしまいます。
過剰歯は歯茎から出ていないことが多く、レントゲンによる検査が必要です。
上唇小帯の付着異常
上の前歯の中央から歯茎に伸びる繊維のひだを「上唇小帯(じょうしんしょうたい)」と呼びます。
すきっ歯の原因の一つに、先天性のこの上唇小帯の付着異常があります。
歯茎に付着する位置や筋の太さには、個人差があります。
上唇小帯が歯の根元近くまで伸びていると、前歯同士に間が空いてしまい、すきっ歯になりやすくなります。
舌や唇の癖
日頃、舌先で前歯の裏を押していると、前歯が前方に倒れ、歯と歯の間に隙間が生じやすくなります。
また、下唇を噛んだり指しゃぶりをしたりすると、上の前歯が外側に押し出されてすきっ歯の原因となります。
歯周病
歯周病になると、歯を支える骨が弱くなり歯が動き、すきっ歯になりやすくなります。
歯周病は、細菌が原因で起こり、炎症がもたらすことによる病気です。
歯周病が進行すると、歯がぐらついて動くことにより、すきっ歯になってしまいます。
歯茎は加齢と共に下がるため、歯茎の状態に合わせて磨き残しがないように注意が必要です。
歯ぎしり
すきっ歯の原因には、歯ぎしりも挙げられます。
寝ている間や無意識のうちにしている歯ぎしりもすきっ歯の原因の1つです。
歯ぎしりは、長い間歯に強い圧力がかかることが特徴です。
歯ぎしりをしているかどうかは、家族に確認してもらったり歯科医院で歯の状態をチェックしてもらったりすると分かります。
抜歯の影響
歯列矯正には抜歯を伴う方法もあります。
歯列矯正の抜歯は、歯並びを整えるためにスペースを空ける目的で行われます。
歯列矯正後に後戻りが起こりすきっ歯になるケースもあります。
つまようじの影響
食後につまようじを使用する方もいらっしゃるかと思います。
繰り返し歯と歯の間に差し込むことで、隙間が広がってしまうことがあります。
歯の破折
歯が破折することで、歯に隙間ができすきっ歯のように見えてしまうことがあります。
とくに前歯の一部が少し欠けてしまうだけで、大きく隙間が空いたように見えることがあります。
破折をそのまま放置しておくとどんどん隙間が広がってしまうことがあるので、そうなる前に歯科を受診するようにしましょう。
すきっ歯を放置すると
虫歯や歯周病のリスクが上がる
歯と歯の間の隙間が広いと、その隙間に汚れがたまりやすくなります。
自分でしっかりケアできれば良いですが、多くの場合歯ブラシの毛が届きにくく、歯垢(プラーク)や歯石が溜まってしまいます。
そのために虫歯や歯周病にかかりやすくなります。
かみ合わせが上手くいかない
すきっ歯だと上下の歯が上手くかみ合わず、食べづらさにつながることがあります。
かみ合わせが上手くいっていないと、消化に時間がかかるなど胃腸にも影響を与えます。
また歯と歯の間の隙間から空気が漏れてしまうことにより、発音が上手くできなかったり、話しづらさにつながったりします。
前歯のすきっ歯の治療方法
ワイヤー矯正による全顎的治療
ワイヤー矯正には、歯の表側につけるものと裏側につけるものの2種類があります。
歯の表もしくは裏に矯正装置を装着し、そこにワイヤーを通すことで少しずつすきっ歯を含む全顎的な矯正治療をしていきます。
裏から矯正する場合は噛み合わせが深すぎると装着できないこともあります。
費用は70万円〜ぐらいかかります。
マウスピース矯正による全顎的治療
インビザライン(マウスピース矯正)は、透明なマウスピースを歯に装着してすきっ歯を含む、全体的な歯並びを整える矯正方法です。
マウスピースは取り外し可能で、矯正していることが目立ちにくいというメリットがある反面、ワイヤー矯正よりも時間がかかってしまう場合もあります。
対応できないケースもありますので、1度矯正歯科専門医と相談してみましょう。
費用は90万円〜ぐらいかかります。
ラミネートべニア方法による部分的な回復
気になる部分が隙間だけの場合は、ラミネートベニア方法で改善することもあります。
この方法は歯の表面を少し削り、そこに薄いセラミックを貼り付けることで歯の隙間や色の改善をはかります。
ラミネートベニア法は審美歯科治療にあたります。
費用は1本9万円〜ぐらいかかります。
クラウン・被せものによる部分的な回復
クラウンは審美治療の1つで、気になる部分が隙間だけの場合や、歯の一部が欠けたりしている場所のみに被せものをして見た目を整える治療方法です。
クラウンによる方法はかなり昔から行われている方法で、実績と確実性はあります。
デメリットとしては歯を削る量が多くなってしまうということです。
費用は1本8万円〜ぐらいかかります。
すきっ歯はそれぞれ原因によって適する治療法も異なるため、患者さん一人一人にあった治療計画を立てる必要があります。
もちろん、あなた自身の希望もあると思いますが、実際の治療では希望がかなわない場合もあります。
自分にどの治療が適しているのか悩まれている方は、まずは歯科医師に相談しましょう。
すきっ歯は、歯列の治療の中でも難しくないケースが多いです。
どのような治療法があなたの歯に適応され、どのような治療が最適なのか、歯科医師と相談して検討しましょう。
入れ歯痛い原因
2023年12月27日こんにちは。
墨田区鐘ヶ淵 鐘ヶ淵駅西口より徒歩3分の歯医者
「にしざわ歯科医院」 院長 西澤克哉です。
いつもブログを読んでいただきありがとうございます。
『 入れ歯を入れると痛い! 』
『 入れ歯を入れると物が詰まって、いやだ! 』
『 入れ歯を入れた時は調子が良かったのに! 』
など、入れ歯の痛みを訴える方は非常に多く見られます。
今回は入れ歯が合わないと感じてしまう原因についてしっかりお話しさせていただきます。
そもそも入れ歯ってなんでしょうか?
入れ歯とは、失った歯を補うための人工歯のことです。
入れ歯には大きく分けて全ての歯を失ってしまった時に入れる総入れ歯と、部分的に歯がなくなったときに入れる部分入れ歯の2種類があります。
部分入れ歯は残った歯にバネを引っ掛けて使っていただくものですが、比較的痛みが出るのは少ないと思われます。
入れ歯が合わないと感じる理由や原因について
入れ歯が合わないと感じる場合の原因はいろいろ考えられます。
それぞれ理由が異なりますのでしっかりお話しさせていただきます。
最初から入れ歯が合わないと感じる場合の原因
抜けた歯が原因でズレや歪みが生じている場合
歯が無くなる前の歯の状態を想定して入れ歯は作られます。
その位置が本来その人の噛み合わせに最適な状態と考えられるからです。
ところが、歯が抜けてしまいそのまま放っといてしまいかなり時間が経過していると、周りの歯が傾いてきてしまったり、噛み合わせや顎の位置が狂ったり、顎を支える筋肉などが徐々にズレていってしまいます。
このような状態になると、元の歯の状態を想定するのが困難になってしまいます。
「入れ歯が合わない」と感じる理由にはこのように、歯を抜けっぱなしにしてしまったことが原因の、ズレからくる影響を受けていることが多いです。
痩せてしまった顎の土手(顎骨)の問題
歯を支えている顎の土手(顎骨)自体が痩せてしまうことによる影響も考えられます。
歯のない状態、あるいは歯が少ない状態が長期間続くと顎が痩せてしまい、入れ歯がうまく合わなくなります。
入れ歯は土手(顎骨)の上にうまく密着できるようにしてハメこむため、顎骨が過度に痩せてしまうと入れ歯と土手が擦れやすくなってしまい、痛みをもたらすことが生じます。
これは歯科医師の技術力があってもうまく解決できない問題かもしれません。
このため、歯が残り少なくなってきたな、と思う場合は放っておかずにできるだけ早めに入れ歯を作ってもらったほうが良いと思われます。
作るタイミングが遅くなり顎骨自体が非常に痩せ細ってしまった場合、クリームタイプの入れ歯安定剤などを使用して、入れ歯との密着度を補うのが一般的です。
ですが、すべてのケースで解決できるとは限りませんから、この点は頭に入れておく必要があります。
入れ歯を長期に渡り使用し続けることが原因の場合
入れ歯を作って最初の頃は調子よく使っていても、時間を重ねると違和感が出てくるケースがります。
その場合には次のようなことが考えられますのでお話させていただきます。
入れ歯を支える顎骨の変化
入れ歯を支える土台となる顎骨は、古い骨と新しい骨の入れ替わり(新陳代謝)によって維持されています。
年齢が増してくるとどうしても新陳代謝が悪くなっていき、骨自体が痩せていってしまうケースが多くなります。
自分の歯ではない入れ歯で噛んでいる場合、顎骨への刺激が少なくなってしまうため、刺激の弱さが原因で骨を細らせてしまうことも考えられます。
このように時間と共に骨が痩せてくると、入れ歯を初めて入れた時との状態に比べ、密着度のズレや入れ歯との間に隙間が生じ、これが痛みの原因になってくることもあります。
入れ歯自体の摩耗によるもの
毎日のお食事などを通して日常的に歯と入れ歯の歯が擦れ合っていると、長年の使用により入れ歯の人工歯がすり減ってしまうことがあります。
そのことが原因で噛み合わせが悪くなってきた場合、うまく入れ歯で噛めなくなり痛みが生じるようになります。
入れ歯に細菌が入り込むことが原因の場合
入れ歯であっても自分の歯と同じように食べカスや歯垢、細菌などが付着します。
特にカンジダとういう菌は入れ歯にこびりついて、口の中にいろいろな悪い影響を与えます。
この菌が原因で、入れ歯が接触する粘膜部分に炎症を起こし粘膜に痛みをもたらせてしまう場合があります。
お湯などによる変形
入れ歯のお手入れの際に熱いお湯を使用して消毒をしていると、熱の影響によって入れ歯の形が変形してしまう恐れがあります。
このため、お手入れの仕方については、その入れ歯の素材に合ったものを事前にしっかりと確認しておくことが大切です。
いかがでしたでしょうか?
入れ歯の痛みは歯の痛みと同様に我慢できない痛みです。
入れ歯が痛いと感じた場合には早期に歯科医院を受診しましょう!!
歯肉から血が出る
2023年11月14日こんにちは。
墨田区鐘ヶ淵 鐘ヶ淵駅西口より徒歩3分の歯医者
「にしざわ歯科医院」 院長 西澤克哉です。
いつもブログを読んでいただきありがとうございます。
『 歯ブラシがあたると、歯肉から血が出る! 』
『 硬いものを咬むと歯肉から血が出る! 』
『 なんだか最近口の中が血の味がするようになった! 』
など、歯肉から血が出ることを経験した方もいらっしゃるのではないでしょうか?
今回は『 歯肉から血が出る! 』についてお話しさせていただきます。
歯肉から血がでていることに気がつくのは、歯磨きしている時が多いのではないでしょうか?
歯ブラシが終わって、うがいした時に血が混じったものを見た経験がある方は多いのではないでしょうか?
びっくりしてしまいますよね。
歯肉からの出血はどんな原因があるのか心配になってしまうこともあるでしょう。
歯肉から出血する場合の主な原因は健康な歯肉の場合、歯を磨いた程度ではあまり出血を起こしません。
そのため歯磨き中に歯肉から出血を起こしている場合は、お口の中に何らかのトラブルが生じていることが疑われます。
歯肉からの出血から考えられる原因
歯肉炎や歯周病
一番多くみられる原因は歯肉炎や歯周病です。
歯肉からの出血の原因のうち9割以上が歯周病によるものと言われています。
初期の「歯肉炎」でも、出血を起こすことはあります。
歯磨きが十分にできていない場合、歯垢(プラーク)が歯と歯肉の間に蓄積し、細菌が歯肉の中に侵入します。
その細菌から出る毒素と歯肉の防衛反応が炎症として現れて出血が起こるのです。
歯周病は悪化するにつれ、顎の骨が溶かされてしまう疾患です。
一度溶かされた顎の骨は完全に元に戻りません。
まだ骨が溶けていない状態でしたら、骨や歯肉を健康な状態にすることが可能ですので、早期発見・早期治療に努めることが重要です。
大きな虫歯があり歯肉の下まで進行している
虫歯が大きく歯肉の下まで進行してしまった場合、その部分が歯肉の炎症により出血します。
こういった場合にはその部分に食ベカスが詰まって入り込み、痛身を生じたり、その部分だけ出血したりするのが特徴です。
歯のかぶせ物がうまく合っていない
歯のかぶせ物が合っていないと、その部分に歯垢(プラーク)が溜まりやすくなります。
この歯垢を放っておくと歯石に変わります。
歯石も歯垢と同じように、細菌の塊ですので細菌から出る毒素によって歯肉が炎症を起こし出血してしまうこともあります。
歯磨きをする時の力が強い
歯を磨く時ブラシの圧が強すぎると、歯肉が傷つきやすくなり出血してしまうこともあります。
適切な歯ブラシの圧力は100~200gほどだと言われています。
結構弱い力なのです。
重さを測るスケイルをお持ちでしたらぜひ一度指で押してみてください。
驚くほど弱い力なのです。
また、硬い歯ブラシの使用も歯肉を傷つけてしまい出血の原因になります。
硬めの歯ブラシの使用は控えましょう!
体調やホルモンバランスなどの変化の影響
生理や妊娠、更年期障害などでホルモンバランスが変化すると、歯肉を腫れさせてしまいます。
これらの症状は歯周病が一気に進みやすくなるタイミングです。
また、疲れや寝不足、ストレスなどから免疫力が弱くなり、歯肉に炎症が起きやすくなっている状態が続くと出血しやすくなります。
口呼吸をしている
歯肉は唾液によって保護されています。
そのため口から呼吸をしてしまうと、前歯が特に乾燥してしまい、歯肉が腫れて出血を起こしてしまいます。
口呼吸をされている方は鼻呼吸の習慣を作るトレーニングを行う必要があります。
あいうべ体操を知っていますか?
口呼吸の改善に良い体操の一つです。
詳しくは過去のコラムにしっかり説明していますので、ぜひご覧になってください。
リンク先はこちら
お身体の病気からの影響
糖尿病や心臓病、がん、などの疾患の兆候として、歯肉からの出血が起こっている場合もあります。
抵抗力が落ちている時はなおさら症状が出やすいため注意が必要です。
歯肉から血が出た場合についておわかりいただけましたでしょうか?
出血が続く場合は早めに歯科医院を受信されることをお勧めいたします。
食べ物が挟まる
2023年10月27日こんにちは。
墨田区鐘ヶ淵 鐘ヶ淵駅西口より徒歩3分の歯医者
「にしざわ歯科医院」 院長 西澤克哉です。
いつもブログを読んでいただきありがとうございます。
『 歯と歯の間に食べ物が挟まって気持ち悪い! 』
『 銀歯の周りに物が挟まって、いやだ! 』
『 繊維製の食べ物は毎回挟まってしまう! 』
など、食べ物が挟まるということを経験された方は多いのではないでしょうか?
今回は『 食べ物が挟まる 』についてお話しさせていただきます。
歯と歯の間に食べ物が挟まるようになった!
食事中に歯と歯の間に食べ物が挟まりやすくなったと感じるようになったことははありませんか?
お肉や野菜などの繊維質などが歯に挟まりやすい食材と言われています。
せっかくの外食中に歯に物が挟まる不快感のせいで、せっかくの食事が楽しめなくなる事もあります。
歯と歯の間に食べ物が挟まる事が多くなったのは、歯や口の中の状態がなんらかの原因で悪くなっている可能性があります。
痛みがないから、歯の周りから出血していないからと放置せずに歯科医院で診てもらうことをおすすめします。
原因があるかぎり放置していても自然に治るということはありません。
歯に物が挟まる主な原因と対処法
歯と歯の間に虫歯がある
歯と歯の間は歯ブラシでの磨きのこしが起こりやすく、虫歯ができやすい場所です。
穴があいてしまうほど進行した虫歯があると、その穴に食べ物が挟まってしまうということが増えてきます。
穴があいていない初期の虫歯でも、虫歯によって歯の表面がざらざらしてしまい、食べ物が引っかかりやすくなっています。
対処法
この場合の対処法は虫歯をしっかり治療することです。
歯と歯の間の虫歯は位置的に歯の根にも近いので、放置していると歯の根の方までまで虫歯が進行してしまい、最悪な場合抜歯しなければならないケースもあります。
物が挟まるなと感じるようになったら、早めに歯科医院を受診し適切な治療を受けましょう。
治療後の詰め物が劣化している
かなり以前の虫歯治療の際に銀歯などの詰め物を行い、その材質が劣化しゆるくなってしまい、歯と歯の間に隙間ができている可能性があります。
詰め物の一般的な寿命は、銀歯で5年から7年、白い詰め物の歯科用レジンで5年、自費治療のセラミックなら10年から20年と言われています。
歯と銀歯などの詰め物は歯科用セメントや歯科用接着剤でしっかり接着されますが、経年劣化などの理由により隙間ができてしまうと、そこに食べ物が挟まるようになります。
その隙間から虫歯が進行して大きな虫歯になり、隙間が広がっている可能性もあります。
対処法
この場合の対処法は詰め物の作り直しが必要です。
やり直す場合は再治療の可能性が低い、セラミック治療も考慮されることをお勧めします。
歯並びやかみ合わせに問題がある
歯並びが悪かったり、噛み合わせが悪い場合も歯の間にものが挟まりやすくなります。
物を噛んだときの力のバランスがわるい事で特定の場所だけに噛む力が強くなり、隙間にものを押し込んでしまうケースがあります。
また歯ぎしりや食いしばりなどがあり、強い力がかかり続けることで歯が動いてしまい、歯と歯の隙間が開いてしまい、物が挟まりやすくなることもあります。
対処法
歯並びが原因の場合は歯科矯正が最適な治療法になります。
歯ぎしりなどの場合は、就寝時につけていただくナイトガードなどの治療も考えて行きます。
歯周病が進行している
歯と歯肉までの距離が長く、全体的の歯が長く見えるようになった場合は、歯周病が進行している可能性があります。
その大きな隙間に食べ物が挟まるようになってしまいます。
歯茎が下がれば下がるほど歯周病が進行し、歯を支えている骨が溶け始め、歯がグラグラと動くようになってしまいます。
結果として歯が動いた時にも隙間ができやすくなり、物が挟まることが多くなってしまいます。
対処法
歯周病は慢性疾患です。症状を放置してしまうと最終的には歯を失うことになってしまいます。
歯周病の治療を初期治療からしっかり行い、原因をひとつひとつ取り除く治療が必要になります。
歯が動揺している場合は、歯の固定処置を行い様子を見ます。
食べ物が挟まった時、家庭でしてほしい対処方法
デンタルフロス(糸ようじ)の使用
デンタルフロスを使用して歯と歯の間の部分にある食べかすを取り除きます。
歯の接触部分がややきつく、力を入れすぎて挿入すると勢い余って歯ぐきに食い込ませてしまう恐れがあります。
優しい力でゆっくりスライドさせながら挿入してください。
ただ、フロスを出し入れしただけでは食べかすや汚れは取れることが少ないため、歯の根元までゆっくり入れた後は、歯の表面全体を面に沿って清掃することをお勧めします。
歯間ブラシの使用
歯と歯の間部分の空間が大きい場合に使用します。
歯間ブラシを入れたときに痛みがある、入らない場合は、歯間ブラシの適応でないか、歯間ブラシのサイズ選びが間違っている可能性があります。
適切な歯間ブラシの大きさと使用方法は歯科医院でしっかり見てもらいましょう。
ウォーターフロス(水圧で汚れを除去する電動器具)の使用
水圧で歯と歯の間の汚れや異物を取り除く電動の歯科清掃器具です。
歯科矯正治療中などでデンタルフロスを挿入できない場合や、手が不自由な方などデンタルフロスや歯間ブラシをうまく使用できないケースでもお勧めです。
やっていただきたくない間違った対処方
爪楊枝の使用
爪楊枝を使ってはさまった食べ物を取ろうとすると、鋭利な部分で歯ぐきを傷つけてしまう場合があります。
また、先細りなためついつい奥まで楊枝を差し込んでしまい、余計に食べかすを押し込んでしまうことが多いです。
爪楊枝の使用はやめましょう。
誤った清掃器具の使い方
デンタルフロスや歯間ブラシをせっかく使用しても、ぐいぐい食い込ませるような使用方法をしてしまう方がいらっしゃいます。
これでは歯肉にダメージを与えてしまい、炎症や歯肉のダメージの原因になってしまうことがあります。
適切に使用し、それでもとることができない場合は歯科医院で相談することをお勧めします。
いかがでしたでしょうか?
物が挟まるのはいつものことだからと思わないでください。
いろいろな原因があるかもしれません。
ぜひ歯科医院を受信されご相談してみてください。