「親知らずが気になる」
「口を開け閉めするときに痛みがある」
「舌が痛い」
など、このようなお悩みをお持ちではありませんか?
お口の中や顎、お口周辺のトラブルに対応するのが口腔外科の治療です。
口腔外科とは
腫瘍や顎関節症などの処置、親知らずの抜歯などを行います。
歯科と口腔外科の違いは?
口腔外科と歯科にはいくつかの違いがあります。
歯科
主な治療
歯の健康管理と治療が中心です。
虫歯の治療、歯周病の管理、詰め物やかぶせ物、歯のクリーニング、歯列矯正、ホワイトニングなど、日常的な口腔ケアを提供します。
口腔外科
主な治療
より複雑で外科的な処置を必要とする問題を扱います。
これには、親知らずの抜歯、顎の骨折、口腔内の腫瘍の摘出、インプラント手術、顎関節症の治療などが含まれます。
違いのまとめ
主な治療
歯科は歯のケアが中心で、比較的軽度の問題に対応しますが、口腔外科はより高度で外科的な処置を必要とする問題を扱います。
このように、歯科と口腔外科は密接に関連しています。 それぞれ異なる役割を持って患者さんの口腔内の健康を支えています。
口腔外科の内容
口腔外科は、口腔およびその周辺の器官に関連する外科的な治療を専門的に行います。
次のようなものが口腔外科で対応する主な内容です。
1. 普通抜歯
口腔一般的に抜歯は、虫歯や歯周病などが進行し歯の保存が不可能になった場合に最終手段として行われます。
近年では歯を可能な限り残すというのが一般的ですが、抜歯をどうしても行わなければならないケースも多々あります。
また、歯の矯正の便宜抜歯や他の病気のために抜歯を行うこともあります。
2. 親知らず(おやしらず)の抜歯
親知らずとは
「親知らず」という名前の由来は、親が子供の歯の生え変わりを見届けた後、子供が成人した頃に生えてくるため、「親が知らないうちに生える歯」という意味が込められています。
親知らずは、智歯(ちし)や第三大臼歯(だいさんだいきゅうし)とも呼ばれ、口の一番奥に生えてくる最後の永久歯のことを言います。通常は10代後半から20代前半にかけて生えてきます。
親知らずは上下左右に1本ずつ、合計で最大4本生える可能性があります。
生まれつき親知らずがない人もいますが、歯ぐきの奥に潜ったまま生えてこないこともあるため、親知らずがあるかないかをしっかり確認するにはレントゲン撮影をする必要があります。
親知らずの特徴
生え方としては、正常に生える場合もありますが、歯の放出してくるスペースが不足していたり、角度が悪かったりすると、歯ぐきの中や隣の歯に向かって斜めに生えることがあります。
このように歯が部分的にしか生えない状態や全く生えない状態を「埋伏智歯(まいふくちし)」と呼びます。
親知らずが痛くなる原因
1.親知らずの周りの歯ぐきの炎症のため
親知らずの周りの歯ぐきが腫れて痛くなることで、親知らずの抜歯の原因の中で最も多いのがこれです。
専門用語で「智歯周囲炎」と呼び、これは親知らずと歯ぐきの間に汚れがたくさん挟まって歯ぐきが炎症を起こし、結果として痛みを引き起こします。
生えている方向が他の歯と同じ向きに問題がなく生えていて一時的な症状の場合は、きちんと歯みがきできるようになれば抜く必要がないこともあります。症状が一時的に治まり、意識して歯を磨いても腫れを繰り返すようなら抜歯をお勧めします。
2.親知らずに虫歯があるため
親知らずに虫歯ができて痛むこともあります。小さい虫歯であれば治療を行なって、その後の歯みがきを頑張ってもらうことで歯を抜かないという選択肢もあります。
ただ、歯の生えている方向が悪く、歯ブラシが届かない環境では治療をしても虫歯を繰り返すことが多いので抜歯をお勧めします。
3.反対側の歯が親知らずの周りの歯ぐきをかみ込んでしまっているため
親知らずがしっかり生えておらず、歯の半分ほどが歯ぐきに埋まってしまっている状態の時に起こります。
反対側の歯が歯ぐきをかみ込んでしまうと歯ぐきに傷ができ、それが原因で腫れて痛くなります。腫れてくるとまた余計に歯ぐきを噛み込んでしまいます。
親知らずを抜くメリットとデメリット
親知らずを抜くメリット
1.痛みや炎症の消失
親知らずが斜めに生えていたりする場合、痛みや腫れを引き起こすことが多いです。抜歯によって、これらの症状を根本的に解消できます。
また、親知らず周辺の歯ぐきが炎症を起こしやすい状況にある場合、早めに抜歯することで炎症や感染を予防できます。
2.隣の歯への悪影響を防げる
親知らずが隣の歯に押し付けられることで、その歯に傷ができてしまったり、虫歯になりやすくなります。抜歯することで隣の歯を守ることができます。
3.歯並びの維持
親知らずが斜めに生えてくることで、手前の歯や他の歯が押され歯並びが乱れることがあります。
特に、矯正治療を受けたことがある人にとっては歯並びを保つため、親知らずの抜歯を推奨することがあります。
4.口腔衛生の改善
親知らずは口の中で一番奥にあるため、歯磨きが難しくプラークや食べかすが溜まりやすいです。
抜歯を行うことで歯が磨きやすくなり、お口全体の口腔衛生が向上します。
5.顎関節症の予防
親知らずが顎に圧力をかけることで顎関節症の原因になることがあります。
抜歯することで顎の負担を軽減し、顎関節症の予防につながることがあります。
これらのメリットから、抜歯が推奨されることが多いです。ただし、親知らずの抜歯については個々の状況により異なります。歯科医や口腔外科医と相談の上、判断することが重要です。
親知らずを抜くデメリット
1.術後の痛みや腫れ
抜歯後には一定の時間痛みが続くことがあります。
特に抜歯するのが難しく時間を要した場合、痛みが強くなることがあります。抜歯後に頬や歯ぐきが腫れることがあります。腫れは抜歯後2、3日がピークです。そして概ね数日間続くことがあります。
2.出血
抜歯直後に出血が続くことがあります。通常は時間が経つと止まりますが場合によっては長く出血することもあります。
3.感染のリスク
抜歯後に傷口から細菌が入り、感染が生じることがあります。抗生剤の服用などで対処することが多いです。また、適切な術後ケアが重要です。
4.ドライソケットになる場合がある
特に下の親知らずを抜いた後に多く見られる症状です。
抜歯後に頻繁なうがいをしてしまったなど、血餅(けっぺい)【血の塊】が取れてしまうことがあります。これにより骨が露出し強い痛みを伴う「ドライソケット」と呼ばれる状態になることがあります。
5.神経損傷
親知らずが下顎の奥に位置している場合、抜歯時に下顎神経や舌神経が損傷されるリスクがあります。
これが起こると、唇や顎、舌にしびれや感覚の麻痺が生じることがあります。多くの場合は時間とともに回復しますが、稀に永久的な損傷が残ることもあります。
6.術後の生活の制限**
抜歯後はしばらくの間硬い食べ物や熱い飲み物を避ける必要があります。
また、運動や激しい活動も制限される場合があります。
歯科医と十分に相談し、個々のリスクとメリットを比較した上で、抜歯を行うかどうかを判断することが重要です。
3. 顎関節症
「あごが痛む(顎関節痛・咀嚼筋痛)」
「口が開かない(開口障害)」
「あごを動かすと音がする(顎関節雑音)」
顎関節症の代表的な症状はこの3つです。
顎関節症の原因と治療法
顎関節症の原因
正式には明らかにされていませんが、多くの因子が関係していると言われています。
神経系の異常、外傷、歯ぎしりや噛みしめ等の習癖、精神・心理的因子、咬合(咬み合わせ)の異常、その他の因子です。
関節症の原因には以下のものが考えられます
- 噛み合わせの乱れ
- 食いしばりの癖
- 歯ぎしり
- 慢性的なストレス
- 頬杖
- うつぶせ寝
- 姿勢が悪い など
顎関節の治療
生活指導
顎関節症は、日常生活における行動や癖が症状と関係している場合が多いです。
ご自身で気をつける事で症状が軽くなる場合があります。
具体的には、硬い食品や長時間の咀嚼は避ける、頬杖をやめることや猫背などの姿勢をよくする、また、仕事中や休息時に上下の歯が接触していることに気付いたら歯を離すようにする、などそれらの改善を試みることが肝心です。
運動療法
運動療法には、筋肉や靭帯などの柔軟性や伸張性を改善するストレッチや、開口量を増加させる可動訓練、疲れやすい筋肉を鍛えて耐久性を向上させる筋力訓練などがあります。歯科医師の指導のもと、しっかり守って行って下さい。
薬物療法
顎関節や咀嚼筋の痛みに対して消炎鎮痛薬の服用を用います。基本的には症状に応じ、薬の種類や服用方法を調整します
マウスピース療法
マウスピースを装着して顎関節に伝わる力を軽減させます。そのことで筋肉がリラックスし、歯の擦り減りを防ぐという効果も期待できます。
噛み合わせ治療
歯が抜けていてそのまま放置し、噛み合わせからくるケースにはインプラント・部分入れ歯・ブリッジなどで噛み合わせを調整していきます。
4. 口腔粘膜疾患
このような症状でお悩みはありませんか?
- 口内炎が繰り返しよくできる
- 唇や口の粘膜にぶつぶつとしたものができる
- 食事をしているときに口の粘膜をよく痛む
- 口の中の頬の粘膜に白いすじがある
- 口の中の粘膜の一部が赤く荒れている。
- 口の粘膜に水ぶくれのようなものができた
などでお悩みの方は口腔粘膜疾患の可能性があります。
これらの症状がおありの方は下記にのような疾患が考えられます。
- 再発性アフタ
- ウィルス性口内炎
- 口腔扁平苔癬(へんぺいたいせん)
- 口腔カンジダ症
- 自己免疫性水疱症(天疱瘡、類天疱瘡など)
- 白板症
- 良性腫瘍(乳頭腫、繊維腫、血管腫など)
- 悪性腫瘍(がん)
口腔粘膜にも「がん」が生じることがあります。
見た目が明らかなものから、口内炎との判別が難しいものまで様々な状態が考えられます。
口腔外科はこのように、口腔内だけでなく顎や顔面全体の病変や外傷に対して広範な治療を提供する分野です。
多くのケースで、他の専門医との連携が求められ全身的な健康状態も考慮した治療が行われます。
当院では
- 日本歯科大学附属病院
- 東京歯科大学水道橋病院
- 日本大学歯学部付属歯科病院
- 帝京大学医学部附属病院
- 都立墨東病院
と連携がしっかり取れています。
難しいケースなどはしっかり対処できる万全の体制ができていますのでご安心ください。