まず、噛むことの大切さ
抜きっぱなしにしたり合わない義歯(入れ歯)をお口の中に入れているとなぜ体に良くないのでしょうか?
それは、合わない義歯(入れ歯)だと、よく噛む事が出来ませんよね。
噛むことは体にとても大切なことです。よく噛むことで口の中の唾液が多く分泌され、唾液の作用でもある消化を助ける力が強くなります。
また、唾液には細菌や発ガン物質を抑える成分も含まれているそうです。
ですから、唾液をいっぱい出すことはとっても重要なことなのです。
それと、よく噛むことで歯や顎から発生する脳へ伝わる刺激が多くなり、そのために脳が活性化され認知症や寝たきりを防げるというデータがたくさん報告されています。
寝たきりの方をしっかり噛めるように治療をすると、胃管(胃へ直接栄養を入れる管)がとれたというデータや、しっかりと歩けるようになったというデータは世界中で報告されています。
このように、本当にしっかり噛むということは重要なことなのです。
最近「歯科アンチエイジング」という分野が注目されています。この言葉お聞きになられた方はいらっしゃいますか?昼の番組でアンチエイジングという言葉はよく耳にしますよね。
歯科界では健康で美しい歯は、若々しい口元を取り戻しはつらつとした人生をお過ごしいただけると考え、歯科アンチエイジングという言葉が生まれました。
しっかり噛めて、周りの友人たちと会話を楽しみながら食事をする。この一見当たり前なことも、義歯(入れ歯)が調子悪いだけでよく噛めず、義歯(入れ歯)が気になってしまい会話も弾みません。
そして、だんだん外出するのも億劫になり、その機会も少なくなってしまいます。
とっても寂しいことですよね。
また、古い義歯(入れ歯)だと義歯(入れ歯)から発する臭いが口臭の原因になることもあります。
よく総入れ歯の古くて合わない義歯(入れ歯)の患者さんが、歯がないのになんで口臭があるのでしょうとご質問を受けます。答えはこのことが原因だったのです。
しっかりと合った義歯(入れ歯)を入れることは、長い目で見れば体の調子を良くしてくれる近道です。このことをしっかりと覚えておいて下さいね!!
審美義歯治療で大切なこと
誰でも義歯(入れ歯)にはなりたくないものです。
ですが、義歯(入れ歯)を使わないとしっかり噛ませるということができない場合もあります。
一般的に義歯(入れ歯)は
- 見た目が悪い
- 痛くて噛めない
- 硬いものは噛めない
- おいしく食事が取れない
など、あまり評判は良くはありません。
しかし、お口全体の治療計画をしっかり立て、その人それぞれの適応症にあった義歯(入れ歯)を選択して作ると、義歯(入れ歯)でも審美性が優れ、かなりしっかり噛めるようになります。
特に審美義歯の場合は、見た目(審美性)を最優先するのは当たり前ですが、しっかり噛めること(機能)も重要になり、事前にしっかり治療計画を立てることで、今までの義歯(入れ歯)より優れた義歯(入れ歯)を手に入れることが出来るようになります。
そのためにドクターと患者さんのコミュニケーションが大切になってきます。
審美義歯の種類
ノンクラスプデンチャー
ノンクラスプデンチャーのノンは「無い」、クラスプとは「バネ」の意味、デンチャーとは義歯(入れ歯)。 つまりノンクラスプデンチャーは、バネのない義歯(入れ歯)のことを総称してこう呼びます。
今までの部分入れ歯の保険の義歯では、必ずクラスプ(入れ歯を固定するため隣の天然歯にかける金属製の留め具)のバネがついていたと思います。
このバネが見えてしまうので、口元を非常に気にされる方がたくさんいらっしゃいました。
たしかに笑った時に入れ歯のバネが見えるのは、あまりきれいとはいえません。
ノンクラスプデンチャーとは、このクラスプがない入れ歯です。
クラスプで固定しない代わりに、歯茎のように見えるピンク色(または、透明)のプラスチックが歯茎に吸いつくように入れ歯を固定させます。
従来の入れ歯はクラスプ部分が目立ってしまうため、入れ歯であることが周囲の人にわかってしまうという欠点がありました。
しかし、ノンクラスプデンチャーはクラスプがないため入れ歯であることが気付かれにくく、審美性に優れています。
さらに、金属を使用していないので金属アレルギーをお持ちの方にも安心です。
金属製のものを口内に入れ続けることで起こる金属アレルギーの心配もありません。
部分入れ歯の悩みを大幅に改善できる入れ歯として、最近特に人気が出てきています。
ノンクラスプデンチャーはこんな方に最適
- 初めて入れ歯を作られる方(フィット感がよいので、従来のものより慣れやすくなっています。)
- 奥歯など2~3本の少数歯が欠損されている方
- 入れ歯を入れて笑うと金属のバネが見えて気になる方
- 入れ歯の金属のバネで歯が締め付けられたり、違和感がある方
ノンクラスプデンチャーのメリット
- クラスプという金属のバネがないので、人から見える位置に入れ歯を装着しても目立ちにくい
- 金属のバネを使わないため、残っている歯を痛めることが少ない
- 保険適用の入れ歯と違い、柔軟性があるので装着感が向上します
- 固定する部分と床が一体のため、適合に優れ、入れ歯が安定してよく咬むことができる
ノンクラスプデンチャーのデメリット
- 自費診療になるので費用がかかってしまう
- 強度はそこまで高くないので、噛み合わせによっては壊れやすい
- 機能的には保険の入れ歯とたいして差がない
- 材質に柔軟性があるので、入れ歯が動きやすい
- 樹脂性のため柔らかさがあり、経年的に入れ歯の維持する力が緩くなる
- 壊れた時の修理・調整に費用がかかる
アタッチメント
アタッチメントとは機能を高めたり、新たな用途を得るために取り付ける付属品という意味があります。
クラウン(かぶせ物)に部分入れ歯とのジョイント部を付属させた歯冠外アタッチメントや、磁石が吸着する金属を付属させた磁性アタッチメントが近年使用されるアタッチメントの代表です。
アタッチメント義歯はクラスプ(針金)のないタイプの義歯です。
代わりにアタッチメント装置を付けた歯と、入れ歯とを連結して安定させます。
様々なタイプがありますが、主なアタッチメントとしてはボール、ロケーターがあります。
ボールとロケーターは歯に雄部をつけ、入れ歯側に雌部を置いたアタッチメント義歯で、ボタンのような留め具状のロケーターは2011年に開発された最先端アタッチメントです。
ロケーターアタッチメント義歯
当院ではロケーターアタッチメント(当院ではケタラーアタッチメントを主に使っていますト)を使用しています。
ボタンのように「パッチ」と取り付けることができるシステムを採用した入れ歯です。
歯の頭頂部に取り付けたロケーターアタッチメントに、入れ歯の裏側に取り付けた樹脂製のディスクをはめ込むことで安定を得ます。
アタッチメント義歯といえば磁石を使ったアタッチメントがよく知られていますが、ロケーターアタッチメントはより高い維持力を再現できます。
樹脂製のディスクは交換可能で、長期の使用にも適しています。
また、さまざまなレベルの維持力を持つディスクが用意されており、調整が可能な点も大きな特徴です。
ロケーターアタッチメントはこんな方におすすめです
- 入れ歯がすぐに外れるとお困りの方
- 入れ歯がずれて、食事が食べにくい方
- 会話中に入れ歯が外れる方
- 装着時に入れ歯が痛む方
- 安定剤を使用しないと、入れ歯が安定しない方
- 入れ歯の見た目が気になる方
アタッチメント義歯のメリット
- クラスプ(止め金)が必要ないので、見た目が良い
- しっかりと固定されるので入れ歯が安定する
- 維持力の調整が可能(色々な強さのディスクが用意されている)
- 噛む力が強くなり、硬いものでもしっかりと噛めるようになる
アタッチメント義歯のデメリット
- 自費治療になるので、費用がかかる
- 定期的にディスクの交換が必要になる
- 歯の中に仕組みを組み込むため、歯が割れやすくなる場合がある
入れ歯治療の流れ
1:カウンセリング
いま、1番の悩みは何か?
お口の中をどの様にしたいのか?
どうしたら自分にとって満足できる入れ歯になるのか?
など、まずはお気軽にご相談ください。
2:検査・診断
お口の状態は患者さんごとに全く違います。
まずはしっかりお口の中を拝見させていただきます。
そして今現在どういう状態か、しっかり診断させていただきます。
3:入れ歯の決定
お口の中の状況をご説明させていただきます。
患者さんと話し合いの上、どの様な審美的に優れた入れ歯をつくっていくのか決定させていただきます。
4:個人トレーの作成
正確なお口の型採りを行うため、その人にあった精密なトレー(型を採る道具)を作成します。
患者さんにしっかりあった入れ歯を作っていく上で重要な作業の一つです。
5:お口の型採り
作成したトレーを使って正確なお口の中の正確な型採りをしていきます。
6:入れ歯の位置決定
上下、左右などの位置をしっかり決め、正しく噛める様に咬合採得という作業を行います。
7:試適
患者さんそれぞれの個性にあった歯の大きさや歯並びなど、一度仮に作った入れ歯をお口の中で試適します。
問題点があれば修正し、再度確認していきます。
患者さんにしっかりあった入れ歯を作っていく上で重要な作業の一つです。
8:最終仕上げ
出来上がった入れ歯の最終調整を行います。
徹底的に噛み合わせの調整を行って、しばらく様子を見ていきます。
入れた後は数回の調整が必要になってきます。
問題点があれば修正し、再度確認していきます。
9:メンテナンス
調子良くご使用になられても、入れ歯や残っている歯を長持ちさせていただくため、定期的なメンテナンスは必ず必要になります。
必ずこちらで指定した間隔でメンテナンスさせていただきます。