こんにちは。
墨田区鐘ヶ淵 鐘ヶ淵駅西口より徒歩3分の歯医者
「にしざわ歯科医院」 院長 西澤克哉です。
いつもブログを読んでいただきありがとうございます。
『歯が抜けてから、よく噛めないな!!』
『歯が抜けてから、身体の調子が悪いな!!』
『歯が抜けてから、胃が痛くなった!!』
など、噛み合わせが悪くなって不調を訴える方が多くなりました。
今回は、『歯並び・噛み合わせと全身疾患、健康寿命の関係』についてお話しさせていただきます。
目次
QOL(キュー・オー・エル)とは
歯の健康が全身の健康やQOL(キュー・オー・エル)に影響するのをご存知ですか?
QOL(キュー・オー・エル)という言葉を聞いたことがありますか?
QOLとは、「Quality Of Life(クオリティ・オブ・ライフ)」の頭文字をとってつくられた言葉です。
クオリティ・オブ・ライフ、つまり「生活の質」とか「生命の質」もしくは「人生の質」と訳されています
その人の生活や人生の豊かさを示す際の指標となる概念と言えます。
QOLとは物質的な豊かさだけではなく、精神的な豊かさや満足度も非常に重要な意味を持ちます。
「健康寿命」と「寿命」の違いとは
「健康寿命」と「寿命」の違いをご存知ですか?
最近雑誌やテレビで、「健康寿命」という言葉をよく耳にします。
しかし、「健康寿命」と「寿命」は、どう違うのでしょうか?
「寿命」とは、一般的に言われている人が生まれてから亡くなるまでの期間を言います。
それに対して「健康寿命」とは、健康に元気に日常生活を送れる期間のことを言います。
日本は、男女とも世界トップクラスの長寿国ですが、すべての人が生涯にわたって健康でいきいきと生活できているわけではありません。
健康上に問題が生じて支援や介護が必要になるなど、日常生活に制限が出てくる場合もあります。
単に長生きするのではなく、心身ともに自立し、健康に天寿を全うしたいものです。
食事や運動、生活習慣などに気を付ける人も多いですが、歯の健康を守ることは一番に重要なことと位置付けられています。
日頃「歯が痛い」、「歯がしみる」、「噛みにくい」などといった症状がなければ、お口の健康を意識しない人も少なくありません。
しかし、普段から、歯や口の中の健康にもっと関心を持って、疾病の予防に努めることが大切です。
歯の健康はお口だけの問題でなく、全身の健康や健康寿命にも影響します。
歯を失って噛めなくなると、さまざまな全身疾患のリスクを高め、QOLの低下を招く可能性があるのです。
歯の喪失が招く全身への悪影響
「噛む」という動作は、ただ食べ物を飲み込みやすくするだけではありません。
噛むことは、脳を刺激し活性化し、食欲をコントロールしたり、お口の健康を維持するなど、さまざまな効果があります。
そのため、歯を失って噛めなくなってしまうと、さまざまな悪影響が懸念されます。
歯を失ってしまったら、ブリッジ・入れ歯・インプラントといった歯を補う治療を行い、咀嚼機能を維持することが大切です。
たとえ1本の歯であっても、抜けたままにしていると、他の歯や歯並びに悪影響を及ぼします。
歯を失うことがないように、病気の予防に努めるのはもちろん、歯を失ったら抜けたままにしないことが大切です。
また、小さな頃から歯並びが悪いと、噛むといった機能が低下し脳の働きを悪くし、学習機能の低下なども招きます。
全身への悪影響
認知症リスクが高まる
ほとんどの歯を失っていながら、入れ歯などを使用せず歯がない状態を続けていると、自分の歯が20本以上残っている人に比べて、認知症の発症リスクがおよそ1.9倍に高まるという調査結果があります。
また、あまり噛めない人は、何でもよく噛める人と比較すると1.5倍認知症の発症リスクが高まるというデータもあります。
つまり、残っている歯が多い人ほど、認知症発症リスクが下がるということです。
噛むという行動は脳に色々な刺激を与え、脳の血流量を増やします。
しっかり噛むためには自分の歯を1本でも多く残すことが大切です。
また、歯を失ってしまった場合には、抜けたままにせず、適切な歯科治療により咀嚼機能を回復することが大切です。
脳血管疾患のリスクが高まる
脳血管疾患は介護が必要になる主な原因の一つです。
そして、突然死を招くことで知られている恐ろしい病気のひとつです。
歯を失うことは脳血管疾患リスクを高めることにもつながります。
それは、歯の喪失で噛めないことにより、食べ過ぎを招きやすくしてしまうことが原因です。
それにより、高血糖や脂質異常の原因になり、脳血管疾患のリスクが高まります。
しっかり噛むために歯を守り、食生活の乱れを招かないようにすることが大切です。
また、脳血管疾患は歯周病との関係も深く、歯周病の人は歯周病でない人に比べて、脳梗塞になる可能性が2.8倍にも高まることがわかっています。
残っている歯も失いやすくなる
抜歯が必要になったら、その箇所を補うための治療(補綴治療)が必要となります。
しかし、歯が抜けたまま放置してしまうと、歯並びの乱れを招きます。
また、歯がなく噛めないことから、偏った噛み癖がつき、さらに悪い歯並び・噛み合わせを進行させてしまいます。
歯が抜けたまま放置してしまうと起こる悪影響
歯並びや噛み合わせが悪くなると、口の中が不衛生になりやすく、特定の歯に負担がかかると、その歯を失うリスクを高めてしまいます。
歯は、上下・両隣の歯と接触することにより、安定した位置を維持しています。「1本くらいなくても問題ない」ということはないのです。
胃腸に大きな負担をかける
よく噛んで食べると、食べ物が小さく粉砕され、消化しやすいかたちになります。
さらに、咀嚼には唾液の分泌を促進する効果もあり、消化・吸収を助けます。
唾液には、お口の健康を維持する働きもありますが、消化・吸収を助ける消化酵素としての働きもあります。
よく噛むことは、咀嚼によるこれらの働きによって、消化・吸収をスムーズにし、胃腸の負担を軽減します。
栄養状態の悪化と体力の低下
失う歯の本数が多くなるほど、咀嚼機能が低下しやすくなります。
硬い食品を避けるようになり、噛まなくても食べられる、やわらかい食品ばかりを摂取するようになります。
これにより、摂取する食品の偏りや栄養状態の悪化を招いてしまいます。
栄養バランスが乱れた状態が続くと、筋肉量の低下を招き、運動能力の低下や運動量・体力の低下を招きます。
このことが、さらなる栄養状態の悪化や体力の低下を招き、悪循環に陥る場合もあります。栄養を摂取するという面だけでなく、食べる楽しみを感じることは、生きる力の源でもあります。
栄養状態や体力を維持するため、そして、QOL低下を防ぐため、「噛める歯」を守り、バランスの良い食事を心がけることが大切と考えられます。
歯周病
歯周病は日本人の8割が罹患しているとも言われています。
近年は低年齢化が指摘されています。
子供にも全体の4割程度に、軽度の歯周病(歯肉炎)症状がみられるという報告もあります。
今や歯周病は、大人も子供も注意しなければならない病気となっているのです。
歯周病の恐ろしさは、歯を失う原因となることだけではありません。
歯周病は糖尿病とも関連しています。
糖尿病の人は歯周病になりやすく、糖尿病と歯周病が相互に影響し合うことがわかってきています。
歯周病になると糖尿病の症状が悪化しやすく、歯周病の症状改善が糖尿病の改善につながることがわかっています。
つまり、歯周病と糖尿病のどちらも治療しなければ、どちらの症状も改善しないということです。
全身の健康とQOL(クオリティ・オブ・ライフ)の向上には予防歯科が大切です
口の中の健康は全身の健康、そしてQOLに大きく影響しています。歯を失うことは社会性にも大きく影響するため、心の健康にも悪影響を及ぼしかねません。 噛むための歯を守ることが、QOL、さらには健康寿命を延ばすことにつながります。
歯を守っていくための取り組みが早い段階から必要であり、予防歯科が大変重要となってきます。
健康寿命を延ばすためには、歯は大変重要になります。
常日頃から口腔ケアを怠らないようにしていきましょう。