こんにちは。
墨田区鐘ヶ淵 鐘ヶ淵駅西口より徒歩3分の歯医者
「にしざわ歯科医院」 院長 西澤克哉です。
いつもブログを読んでいただきありがとうございます。
「歯並び悪いけど大人になれば治るのかしら !!」
「前歯出てるけど愛嬌があって良い感じ !!」
「顎がしゃくれてきた !! どうしましょう?」
日本人は、欧米人と比べると「顎が小さい」ので歯並びも乱れがちです。
色々な不正咬合が多いのが特徴です。
そうした悪い歯並びを治療せず放置すると、さまざまなデメリットが生じます。
今回はこの「悪い歯並びを放置するデメリット」を中心にお話しさせていただきます。
お子様の歯並びが他の方に比べて悪い場合、矯正治療を受けさせるべきか、そのままにしておいたほうが良いのか悩まれるケースが多いのではないでしょうか?
歯科医師の立場から話させていただきますと、結論として小児矯正をおすすめします。
理由を含めお話しさせていただきます。
目次
悪い歯並びとは
まず「悪い歯並び」とはどのような状態なのかを知っておきましょう。
出っ歯
上顎の前歯が前方に飛び出した状態です。
下唇を噛む癖や、指しゃぶりなどが原因で起こります。
また、遺伝的要素や成長過程でのアンバランスが原因とされる場合もあります。
出っ歯のお子様は、前歯が前方に突出しているため、唇を押し出してしまい、口が閉じにくくなります。
そのため、唾液の分泌量が減って虫歯や歯周病になりやすいです。
オープンバイト(開咬)
上の歯と下の歯を噛み合わせた際、前歯に隙間ができて噛み合わない状態のことを言います。
指しゃぶりを長期間続けたり、口の周りの筋肉が弱かったりすることが原因で起こると考えられます。
前歯同士が噛み合わないため、奥歯に負担がかかってしまい、歯や顎を痛めてしまう可能性があります。
乱ぐい歯(叢生)
歯の大きさが大きかったり、顎が小さいことが原因で、歯の生えるスペースが狭いためガタガタに歯が並んだ状態のことを言います。
歯並びがガタガタなので見た目でも目立つケースが多いです。
歯と歯が重なり合っている部分が多いため、歯磨きがしにくく虫歯や歯周病になりやすいのはもちろんのこと、口臭の原因になります。
すきっ歯(空隙歯列)
歯と歯の間に大きな隙間が生まれている状態のことを言います。
先天的な理由や、生まれつき歯の本数が足りないことや、歯が小さいことなどが原因で起こります。
すきっ歯のまま放置していると、食べ物のカスが歯と歯の隙間に挟まりやすくなり、虫歯や歯周病のリスクを高めてしまいます。
息が歯と歯の間から漏れてしまい発音が悪くなることも問題です。
受け口(反対咬合)
下の前歯、もしくは下顎が前方に突出している状態のことを言います。
骨格的な影響を受け、顎がしゃくれ上がることも特徴といえます。
遺伝的要因や、口呼吸の癖、下顎を前方に突き出す癖などが受け口になる主な原因とされています。
また、発声がしにくい、唇が閉じにくい、発音がしにくいといった問題が起こります。
悪い歯並びを放置した場合のリスク
子どもの悪い歯並びの放置はおすすめしません。
歯並びが悪いことが原因で、色々な悪影響をもたらします。
子どもの悪い歯並びを放置すべきでない理由をご説明します。
虫歯や歯周病に罹患するリスクが上がる
歯並びが悪いと、歯垢や歯石が溜まりやすく、虫歯や歯周病を引き起こしやすくなります。
日本人の不正咬合で1番多いのは歯がデコボコに生えてくる叢生です。
歯が重なり合っているため、ブラッシングによる歯垢の除去が難しいのが特徴です。
受け口や出っ歯の場合では、上下の唇が閉じにくくなることに注意が必要です。
口を開けたままの状態が長いと口腔内が乾燥し、雑菌が繁殖しやすくなります。
そのことから虫歯や歯周病になりやすくなります。
食べ物が噛みにくくなる
歯並びが悪いと噛み合わない場所が生まれ、食べ物を上手に噛目無くなります。
硬い物が食べにくいせいで強く噛み合わせなくなり、顎への刺激が少なくなり、顎の成長が止まってしまう場合もあります。
また、噛み合わせが悪いと食べ物をしっかり噛み砕くことができず、唾液も十分に分泌されず、消化しにくい状態のまま嚥下されてしまい、胃や腸などの負担が増加し、消化器系の疾患になりやすくなります。
発音がしにくくなる
歯と歯の間に隙間がある場合は、空気が漏れて発音がしにくくなります。
とくに受け口の場合は舌の位置まで変わるため、周囲の人が言葉を聞き取りにくくなるせいで、コミュニケーションに問題が生じる恐れがあります。
サ行・タ行・ナ行・ラ行は、歯の裏側に舌をくっつけて発声しますが、歯のすき間から息が漏れてしまうような歯並びの場合、明瞭な発音が難しくなります。
顔貌が変化してしまう
歯並びが悪いと、噛み合わせに問題を抱えるケースが多いのが問題になります。
噛みやすい片側ばかりで噛む偏咀嚼などが起こりやすくなります。
偏咀嚼は、顎や口周りの筋肉の左右バランスを崩し、顔面の左右非対称や歪みなどを起こしてしまいます。
正面からの顔貌が歪んで見えるケースをよく見かけます。
顎関節症になりやすい
顎関節症とは、顎の関節や顎を動かす咀嚼筋に異常が起こり、「顎が痛い」、「口が開きにくい」、「変な音がする」、「ものが噛みにくい」といった症状が現れる病気です。
顎に何らかの症状を持つ人は全人口の7~8割に上るとされています。
顎関節症の原因には様々なものがありますが、歯並びや噛み合わせの悪さからくるものが多いとされています。
不正咬合によって歯と歯が噛み合うところが限られていると、特定の歯に過剰な力がかかってしまいます。
人間の噛む力は非常に強く、就寝中に歯ぎしりや食いしばりなどの行動がある場合は、更に歯に負担がかかっています。
過剰な負荷がかかった力は歯から顎に伝わり、顎関節に悪影響を与えます。
子どもの歯並びを悪化させないためには
口呼吸をやめさせる
鼻詰まりなどで口呼吸が癖になっている子どもは多くいます。
口呼吸で口が開きっぱなしになっていると、口周りの筋肉が緊張せず発達しません。
それが原因で特に上顎の発達が妨げられ、歯並びにも影響を与えます。
口呼吸しているようならすぐに止める努力をさせてください。
指しゃぶりの癖
指しゃぶりを長時間続けると、指の圧力で上の前歯が前方に押し出されてしまいます。
また、指の吸引力により内側に引っ張られ、開咬の症状が現れます。
指しゃぶりは1~2歳の時点では習慣的に行いますが、段階的に減り、5歳までになくなることがほとんどです。
しかし、5歳くらいになっても指しゃぶりの癖が抜けない場合、歯並びに大きな影響を与える恐れがあるため、注意が必要です。
食事ではよく噛む
食事ではよく噛んで食べるように指導しましょう。
よく噛むことで、口の周りの筋肉が成長し、唇をしっかり閉じるといったこともできるようになります。
筋肉を鍛えることにより、顎の発育も促します。
顎の形、大きさををしっかり成長させ安定させることで、きれいな歯並びを整える環境が作られます。
子どものうちに歯並びを矯正した方が良い理由
お子様の歯並びが悪いと感じたら、小児矯正による歯並びの改善治療が良いと思われます。
成人矯正と小児矯正は治療内容が全く異なります。
小児矯正は2ステージで矯正治療する
Ⅰ期治療
3歳~12歳くらいまでの永久歯が完全に生えそろう前に行う矯正です。
成長期の特性を利用し顎の発育のコントロールを行なっていきます。
この時期に歯の出てくるスペースを作って行ったり、永久歯が生えやすい環境を整えていきます。
よってこの時期の治療で不正咬合を極力減らし、次のⅡ期治療へとスムーズに移行できます。
このⅠ期治療で軌道修正ができ終了というケースも多く見られます。
Ⅱ期治療
永久歯に生え揃ってから行う治療です。
1期治療によりベースと整えた環境を利用し、歯並びの改善を行なっていきます。
ある程度悪い環境から改善されているため、短期間の治療で効率良く歯列矯正しやすくなります。
成人矯正では歯のデコボコを治すため、抜歯するケースがほとんどです。
しかし、Ⅰ期治療で顎の成長をうまくコントロールできたケースでは、抜歯本数が少なかったり、抜歯をしないで済むケースもあります。
このことは将来に渡り大変重要なメリットになります。
子どもの歯は大人よりも歯が動きやすいということも大変重要なメリットであるため、矯正による負担も減らせるのが期待できます。
子どもの悪い歯並びを放置すると、症状が悪化したり、虫歯・歯周病の原因になったりします。
歯を並べる基礎になる顎の成長を促せるⅠ期治療から始められる点は小児矯正の大きなメリットです。
ですのでお子様の歯並びが悪いと感じたら、矯正治療はできるだけ早く始めましょう。