こんにちは。
墨田区鐘ヶ淵 鐘ヶ淵駅西口より徒歩3分の歯医者
「にしざわ歯科医院」 院長 西澤克哉です。
いつもブログを読んでいただきありがとうございます。
「あら、うちの子お口が開きっぱなしだわ !!」
「お口がポカーンとしているぞ !!」
なんて感じたことはありませんか?
小さいお子さんのうちは可愛らしく見えますが、ある程度大きくなってからもお口が開いたままだと、ちょっとだらしなく見えてしまいます。
今回はこの「お口ポカーン」についてお話しさせていただきます。
当院の患者さんの中にも、テレビを観ているときや、寝ているときなどにお口がポカーンと開いている症状があるお子様子は少なくありません。
実はこのお口ポカンは列記とした『病気』なんです。
そして他の病気を誘発する『要因』にもなりうります。
今このお口ポカンとは診断用語では「 口唇閉鎖不全症 」と呼ばれる疾患となります。
ですから、正しい治療法によってしっかり治していく必要があります。
新潟大学などの研究チームによると、日本人の子どもの3割で日常的に口が開いているとされています、
いわゆる『お口ポカーン』の症状が見られることがわかったと発表しました。
小児歯科医院を受診する3歳から12歳のおよそ3,400人を対象として、その保護者にアンケートを実施したところ、子どもの30.7%が、お口ポカンを示していたということで、研究チームは、『お口ポカーンは現代の新たな疾病だ』と指摘しています。
研究チームは、「子どもの『お口ポカン』は、成長期においては自然治癒が難しい疾病であると考えられる」としています。
目次
お口が開いてしまう原因
お口をポカーンと開けたままにしてしまうのはお子様の不注意と思われがちですが、そこには「お口を閉じるのが難しい理由」が隠れている可能性もあります。
その1番の原因は口呼吸とされています。
小児の口呼吸と関連するチェック項目
✧ 唇にしまりが無い
✧ 日中よく口が開いている
✧ 唇が乾燥している(上唇がめくれている)
✧ 出っ歯である
✧ 唇が厚い
✧ 口を開けて眠る
✧ 口がよく乾いている
✧ 上唇と下唇との間から歯が見える
✧ くちゃくちゃ音を立てて食べている
✧ 食べているときに口を閉じている
✧ 日中や睡眠中に鼻が詰まっている
✧ 口臭がある
✧ いびきをかいている
✧ 喘息である
✧ 花粉症である
✧ 猫背である
✧ 食事中に水分をあまり取らない
などが考えられます。
一つでも当てはまる場合は、口呼吸をしていると思っていただき、なんらかの治療を行なっていく必要があります。
お口ポカーンのデメリット
実はこの口呼吸(お口ポカーン)はとっても危険なことなのです。
どのようなデメリットがあるのでしょうか?
虫歯になりやすくなる
口呼吸によってお口の中が乾燥してしまうと、唾液が分泌されにくくなってしまいます。
通常、歯は唾液に含まれる成分によって初期の虫歯を修復していきます。
ですが、唾液が少なくなってしまうとこの働きが弱くなり、虫歯の進行がすすんでしまうとされています。
また、唾液にはリゾチームといった酵素も含まれており殺菌作用もあります。
歯周病になりやすく、口臭もきつくなる
唾液の量が少なくなると、唾液の殺菌作用によって洗い流されていたお口の中の細菌も繁殖しやすくなってしまい、歯周病に罹患しやすくなります。
お口の中の細菌の量が増えると歯周病の原因だけではなく、口臭の原因になる菌も増殖し、結果口臭もきつくなってしまいます。
出っ歯になりやすい
口呼吸をしていると、上顎の成長に影響が出てしまいます。
通常、お口を閉じている状態では舌が上顎にくっついている状態になっていて、この舌の力によって上顎が広げられることで成長していきます。
ですが、口呼吸により口が開いている状態だと、上顎を広げるための力が作用しません。
上顎が正常に広がらないと、歯が生えてくるスペースが確保できず、歯が前に飛び出してしまい、出っ歯になってしまいます。
顔にゆがみが発生しやすい
口呼吸の人は唇に力が入らないため、お口の周りの筋力がどんどん低下してしまいます。
そのため、頬や口元の筋肉はたるみ、お口の筋肉とつながっているお顔全体の筋肉にも影響し、目元まで垂れ下がってしまいま。
また、写真人のようなアデノイド顔貌と呼ばれる独特の顔つきになってしまう事にもつながります。
インフルエンザなどのウィルス性疾患に感染しやすい
鼻呼吸をしている人の場合は空気中のウイルスやほこりを鼻から吸い込んでも、鼻毛や鼻水などがフィルターとして働き、ウイルスや細菌のほぼ全てを防いでいると報告されています。
しかし反面、口呼吸をしている人の場合、このフィルターが機能せずウイルスが口腔内から直接体内に入ってしまうため、インフルエンザなどのウィルス性疾患に感染しやすくなってしまいます。
いびきや睡眠時無呼吸症候群を引き起こしやすい
口呼吸は、いびき発生の原因にもなります。
いびきをかいている状態では熟睡できず、疲労もなかなか取れなくなります。
また、口呼吸により舌に力が入りにくくなってしまうと、睡眠時に舌が起動を塞いで睡眠時無呼吸症候群になりやすい状態を作ってしまいます。
口唇閉鎖不全(お口ポカーン)治療法
耳鼻咽喉科への受診
アレルギー性鼻炎等の慢性的な鼻炎や花粉症によって、どうしても口呼吸せざるを得ないという方は結構いるのではないでしょうか。
当院でも、よく親御さんからそのような話を聞きます。まずは、耳鼻咽喉科での受診をおすすめします。
口腔周囲筋のトレーニング(MFT)
食べる(咀嚼)時、飲む(嚥下)時、発音時、呼吸時の舌や口唇の位置の改善を目的とした各種トレーニングです。 MFTを継続して行うことで口腔周囲の筋肉バランスを整え、癖を直すことができます。
スポットポジション
スポットポジションとは、お口の中の、舌があるべき位置のことです。
上の真ん中の前歯2本の真裏にある膨らみを「スポット」といいます。
舌先がスポットに当たり、舌全体が上顎に吸い付いている状態が正しい位置、つまり「スポットポジション」です。
この位置に舌を正しく持っていけるか、歯科衛生士と練習していただきます。
あいうべ体操
この「あいうべ体操」は、九州にあるみらいクリニックの今井先生が考案されたものです。
「あいうべ体操」は口腔周囲筋をしっかりトレーニングするのに有効で、口呼吸を鼻呼吸に改善していく口の体操のことです。
いつでもどこでも誰でもできる「あいうべ体操」は地道に続けると、舌に力がついてきて自然に口を閉じることができるようになります。
そして、口を閉じるということは鼻で呼吸をしっかりしているということを表します。
乳歯が残っている時期からの矯正治療
口呼吸がひどく口蓋(上顎の窪み)が深い場合は積極的に上顎の歯列の拡大治療を行い、そのことで気道の通りをよくします。
このことはとても成長期の大事な治療になりますので、思い当たる方はぜひ歯科医院を早期に受診されていただきたいです。
いかがでしたでしょうか?
口ポカーンは病気であることが理解いただけたでしょうか?
お子様で思い当たる方がいらっしゃいましたら、早い時期に1度歯科医師にご相談ください。